先日、チョコレートを創っているクライアントから毎日が気持ち悪い感覚に襲われると報告を受けました(守秘義務の関係で全部は話せません。ご了承ください)。
チョコレート職人であるAさん。
「私のつくるチョコレートは誰もが美味しいと言ってくれる、だけど、こんなものではない。私はもっともっと出来る筈」、「全日本レベルのコンクールで優勝したい」と。ゴールを目指して進んでいるべき自分がいるのに、しっくりこない不安感、焦燥感、イライラを感じると報告を受けました。
僕の答えは「おめでとうございます」だ。えっ、なんで「おめでとうなの?」と不思議に思う方がいるかもしれません。ゴールを達成するのに避けて通れない道だからです。言い換えれば、順調にゴールに向かっている証拠。
この状況は認知不協和と言って、エフィカシーが高まった結果に引き起こされます。それまでは、現状の自分のイメージが鮮明であり、そこに快適を感じて生きていけた。まさに、コンフォートゾーンです。
けど、エフィカシーが高まり、ゴール側の自分のイメージが鮮明になることにより、現状VSゴールで綱引きをするようになった状態です。私たちは二つのイメージを選べません。どちらか一方、勝負に勝った方が、もれなくその方の現実として選ばれます。
認知的不協和では、多くの人が物凄い不安感、焦燥感、イライラを感じてしまいます。ゴール達成をした自分は現状の延長線ではない人間です。つまり、変化してしまった自分、私たちの本能(ホメオスタシス)が変わらせないように抵抗をしてくるのです。どうやら、Aさんのホメオスタシスが抵抗をしてきたようです。
Aさんも「やっぱりコンクールへの応募はやめにしようかな」、「自分には時期尚早かな」という考えがチラつくこともあったそうです。けど、「変わらない方が怖い」、「このままの現状が続く方がもっと怖い」、「絶対にゴールを達成したいし、そうあるのが自分らしい」と感じたそうです。
この言葉を聞いてコーチである私のエフィカシーも挙がりました。当初の状態を考えると、めちゃくちゃ成長しています。もはや別人、顔つきや目の輝きが違います。コンフォートゾーンがゴール側に移行した証拠です。
さて、ホメオスタシスは強烈です。夢達成やゴール達成を諦めさせるのが十八番です。例えば、ダイエットに挑戦しても、「ダイエットは明日から」、「デザートは別腹」、「そもそもダイエットをする必要はない」と、クリエイティブにダイエットをしなくていい理由を考えてくれます。
講演会やセミナーに参加して「よし、私も夢に向かって突き進むぜ!」と意気込んだけど、3日くらいで熱が冷めて「やっぱり、私には難しいかな」と思って諦めた経験はないでしょうか。これもホメオスタシスがバリバリに作用した結果です。
ちなみに、多くの人がゴール達成を諦めるのはこの認知的不協和の状態です。というよりも諦めさせられたという方がシックリとくるのかもしれません。僕も経験がありますがメチャクチャしんどいのは事実です。
しかし、この状態を超えると一気にゴールへ突き進みます。ホメオスタシスがゴール側を達成した自分が正だと認識するようになり、それに辻褄を合わせるべく思考パターンや行動が変わってくるのです。結果、なんだかよく分からないけど気が付いたらゴールを達成していましたということになるのです。
さて、Aさんより認知的不協和を抜け出したいと相談を受けました。では、どうするか。まず大事なのは、エフィカシーを絶対に下げないこと。
多くの人は、ホメオスタシスの作用を知りません。なので、不安感、焦燥感、イライラを感じている自分に対して「私はダメなやつだと」間違った評価をしてしまいがちです。そうではなく、不安、焦燥感、イライラを感じるのは確実にゴールに向かっている証拠、そんな俺、わたしは凄いと認めてあげましょう。
話はそれますが、間違ったコーチや他人から「それはお前の本気や気合が足りないからだと」、「そもそもゴールや目標が高すぎる」と言われて、エフィカシーを下げられてしまう人が多いという事実を聞きます。誰に相談するは相手は良く選びましょう。
その次は、ゴール側のイメージを高める。ゴールから見た今の自分は誰と会い、どこに行き、どんなことをしているべきかを徹底的にイメージしてみるのです。
臨場感を増すために、思い切って実際に、人に会いに行く、現地に足を運んでみる。もちろんwant toで。行動は大事ですよ。
他にも、アファメーションやセルフトークのコントロール等、有効なテクニックはありますが、ココでは割愛します。
繰り返しますが、多くの人がゴール達成を諦めるのは、上記にあげたこの認知的不協和の状態です。今この記事を読んでいる方の中にも、苦しんでいる方がいるのかもしれません。
まさに、ここで諦めるか、それとも前に進むかです。ここで、苦しい分だけ、その不協和を解消すべく一気にゴール達成へ進めるのです。
乱気流を抜けた先には、まだ見たこのない青空が間違いなく広がっていますよ。