えっ、まだニュースなんて観てるんですか?

えっ、まだニュースなんて観てるんですか?

2015-11-12

不安に関連して、以下のような相談を受けました。

殺人や事故のニュースやドラマをテレビで見るたびに亡くなった方を自分や家族に置き換えてしまい「自分もこんな死に方をするかもしれない」と、たまらなく怖くなります。おそろしくてなかなか眠れないときもあります。

(Fさん 30代 女性)

分かります。過去に私もこのような経験があります。とくに、心が疲れている時、弱っている時にこのような体験をしたことがあります。人間は暗いニュースに包まれると、不安を感じてしまう傾向があるようです。

あと、なぜか学校でニュースはしっかりと見なさいと言われて、見なければならないものと思い込んでいました。別に、見なくても良いです、その理由を書いていきたいと思います。

不安なニュースは感染しやすい

人間は受け取る情報の80%を視覚野から受け取っていると言われています。

テレビの前では受け身となり一方的に情報の取捨選択をする間もなく、脳に情報が記憶としてインプットされてしまいます。

サブリミナルの如く無意識下にアンカー(錨)としてその情報が埋め込まれるのです。そして、何かがトリガー(引き金)となり、ご自身の不安やトラウマなどの記憶に結びついて、思い出して不安を感じるのだと推測します。

そんな影響力の強いテレビで、誰かが自殺をしたというニュースが流れたとします。

自殺が一面記事として広く報道された地域では、その直後に自殺率が劇的に増加していることが彼(フィリップス 斎藤注)の研究から示されています。フィリップスの主張は、問題を抱えた人が他人の自殺記事を読むと、その中の何人かが模倣して自殺するというものです。これらの人々は、同じように問題を抱える人々がどのように行動したのかに基づいて自分のとるべき行動を決定するのです。
ロバート.B.チャルディーニ著 社会行動研究会訳 『影響力の武器(第2版)』誠信書房P232

また、ウェルテル効果と言うのをご存知でしょうか。2世紀以上も前に、ドイツの文豪ゲーテが『若きウェルテルの悩み』と題する小説を出版しました。主人公ウェルテルの自殺を取り扱ったこの本の影響により、ヨーロッパ中で主人公をまねた自殺が相次いだのです。

その影響力はすさまじく、いくつか国の当局者はこの本を発行禁止にしたそうです。

それくらい、ネガティブなインパクトが世に広まってしまったのです

暗いニュース、例えば、上にあげた自殺報道が、もともと不安感や恐怖感が強い人に、より臨場感を持って不安、恐怖のインパクトを与えてしまうとも考えられます。

ホメオスタシス同調の観点からも不安や恐怖が伝染するとも考えられます。

自殺報道の例でいえば、自殺をしようか、しまいかと迷っている人の背中を押してしまうことになりかねません。あの人も、だから私もと言った具合に社会的証明として自殺を誘発しているのです。

暗い社会になってしまいます。

では、嬉しいニュースの場合はどうですかと言う質問もあるかと思いますが、人間は生得的に、ネガティブな情報に臨場感を感じるようです。それは、同じ失敗を繰り返さないためです。

なぜ避けなければならないのか。そこに生命のリスクがあると感じられるからです。イヤな出来事を記憶することがなければ、私たちはせっかくそれを体験しておきながら、次もその次も同じ轍を踏むことになり、生命のリスクにさらされつづけてしまいます。-(中略)-脳のそうした記憶のメカニズムは、生物が種を保存し生きながらえていくために獲得した、非常に大切な能力のひとつです。
苫米地英人著 『イヤな気持ち』を消す技術 フォレスト P27-28  

このように人間は本能的にネガティブな情報に臨場感を感じやすくなります。

それから逃れるためには、テレビを見るのを辞めることをおススメします。

テレビは画面がある分その情報量が圧倒的です。どうしても、情報が欲しければ、ラジオ、新聞から情報を取るようにしてみてはいかがでしょうか。

と言うよりも、メディアに接していなくてもその人に本当に必要な情報は必ず届くのでご安心ください。

最後になりますが、上ではテレビを悪玉のように取り上げました。

しかし、テレビ局の報道関係の人は、自分たちの影響力を十分熟知しています。

この事件を報道したら、どのくらいのインパクトを社会に与えるのかを十分に精査して報道しているそうなのであしからず。

セミナー情報

1.『自己洗脳で人生を変える日記の付け方』
日時 2015年11月28日(土)13:00-15:00
場所 京都(会場はお申込者に個別にご連絡します)
定員 20名
講師 赤坂 ユニコ 菜生(テトラヒドロン人間関係研究所 所長)、斎藤貴志(苫米地式コーチ)
料金 20,000円(税抜)

2.『アファメーション12個目のルール』in 大阪
日時2015年12月13日(日)12:10 〜15:00
場所 貸し会議室 大阪研修センター 〒532-0024 大阪市淀川区十三本町1-12-15 ドルチェヴィータファースト3階 アクセスマップ http://www.kaigishitsu.ne.jp/accessmap/index.html
定員6名
講師 佐藤星児 三國真弓 斎藤貴志
料金5,500円