ある地元の女性からコミュニケーションについて相談を受けました。
その方はパートナーとコミュニケーションを取ろうとすると、頻繁に正面からぶつかってケンカになるとのこと。
お互いの仲を深めることもあるので、ケンカが一概に悪いとは言えません。
しかし、毎回それを繰り返していると、愛情ではなく、憎いだけの対象になってしまいかねません。
そこでアドバイスしたことは、そもそもコミュニケーションは『相手を勝たせる』という視点です。
ついつい、コミュニケーションというと『相手と議論をして打ち負かす』とか、『スピーチのようにこちらが一方的に通したい要求を叫ぶ』と思われがちです。
いかにして、こちら側の要求を相手に飲ませるのかということがコミュニケーションだと勘違いされています。
その女性もパートナーに『勝たなければならない』と思ったのでしょう。
コミュニケーションは『相手を勝たせること』と再定義してみましょう。
ただし相手を勝たせると言っても、何でもかんでも相手の言うとおりにしていれば自分のフラストレーションが溜まります。
このパートナーの男性は、どちらかというと引っ張っていくタイプで、押しが強いのだそうです。
こういった男性に対して『頼り甲斐があって素敵!』と思う女性もいるかもしれませんが、相談をしてくれた女性も結構な勝気な性分です。
よって、パートナーと正面からぶつかるようです。
そんな時は、こちらからは向かって行かないことです。
このパートナーのような男性は、女性から向かって行かなくても、相手からやってきます。そんな時は、相手の勢いを殺さずに、その勢いを利用して、柔道の巴投げみたくメージ上で投げ飛ばすのです。
こちら側がどこに投げとばすのかというと、こちらのwant toに対してです。
要するに、相手のwant toとこちらのwant toが交錯する点を見出して、そこに相手を誘導するのです。
例えば、パートナーが大のお酒好きで、一方、女性の方はお酒があまり好きではないと仮定します。
そんな時に『お酒を飲むのは止めて』と言っても男性は聞く耳を持たないでしょう。
むしろ『俺が稼いだ金をどうしようが勝手だろうが!』と怒るかもしれません。
そんな時は、なぜ男性がお酒を飲みたくなるのかを理由を推測します。会社でのストレス解消かもしれませんし、単に美味しいから止められないのかもしれません。止められないのもストレスが背後にあると思います。できる女性はこういったシーンで単に感情に任せるのではなく、アタマを使います。
一方で、この女性としては酔っ払いが嫌いだとか、酒代が家計の負担になることを心配しているのかもしれません。それがストレスになっています。
そもそも論で考えると、つまり抽象度を上げて考えるとお互い共通のキーワードが見えてきます。これをLUBと言います。
ここで見えてきたLUBはストレスです。このストレスを解消するという抽象的なキーワードから、今度はパートナーのメリットになる代案を提案します。対案は、具体的な行動で、相手の臨場感に落とすということです。
男性に、お家での飲酒は控えてもらって、お小遣いの範囲で一杯引っ掛けてから帰宅してもらう。その代わりに、休日はカップルで日帰り温泉やジムに行ってストレス解消をする、もしくは平日はお酒を飲んでも良いけど、休日はお酒を控えてもらうなどの提案ができます。
お酒が飲みたいという男性のwant toを殺してはいませんよね。この男性がwant toでぶつけてくるエネルギーを、女性の方が巴投げでストレス解消の方向に投げています。
これが相手を勝たせるやり方です。
ただし、一方的にこちらがやられているわけではありません。51対49の割合で負けてあげるのです。
このことはある外交官の体験談から学びました。
その外交官曰く、交渉でこちらが一方的に勝つと、必ず相手はこちらに対して恨みを抱いたり、わだかまりを抱いたりしてシコリガ残る。そうはならないように51対49くらいの割合で相手に負けてあげることがポイントとのことです。そうすると相手からの心象も良くなるし、今後交渉に臨むときも役立つと。
ただし、こちらも49ポイントを稼いでいるので一方的な負けではない、むしろ次につなげて、長期的な勝ち、国益に繋げるのだそうです。
譲れないところはプリンシプルとして固持、それ以外のところは時には譲歩してみせるのだそうです。
このやり方は国際関係だけではなく、私たちの身近な日常にも役立ちます。
まあ、身近な日常から発展したものが国際関係であり、両方のLUBは人間関係なので当然と言えば当然ですよね。
あなたも『できる女子』として、この視点からコミュニケーションを見直してみましょう。