文野義明コーチの講座に参加して、ゴール設定=生きる力だということを再認識しました

文野義明コーチの講座に参加して、ゴール設定=生きる力だということを再認識しました

2015-09-27

今回は文野義明コーチの講座を振り返ってみたいと思います。

文野コーチと言えば苫米地式コーチの中でも自他ともに認める論理派です。
本人曰く、苫米地博士の本を全部読んだ人が、さらに理論を深堀したくて彼のもとにやってくるとのこと。論理派の重鎮です。

今回のテーマは、「ネガティブなマインドにどのように向き合うべきか?」。

第2次大戦時にユダヤ人収容所にて、強制労働に従事させられた精神科医ヴィクトール・フランクルの名著「夜と霧」を題材に、現代社会の闇とアウシュビッツ収容所との類似性をみつけ、絶望の中からでもいかにして未来(希望)もち、より良く生きていくかを問う内容でした。

僕も大阪までのバスの車内で「夜と霧」を読んで、あらかじめ内容を予習しておきました。

文野コーチ曰く、「(アウシュビッツ収容所の方がはるかに現代社会より過酷だが)現代社会には物理的な壁や塀はないけれども、人々のマインドの中にそれらがある」。

それをひも解くには、現代社会に生きる、多くの人々は気が付いていないが、第2次大戦時のユダヤ人収容所にて観察された心理報告が参考になるとのこと。

例えば、感情の喪失。

感情の消滅や鈍磨、内面の冷淡さと無関心。これら、被収容者の心理的反応の第二段階の特徴は、ほどなく毎日毎時殴られることにたいしても、なにも感じなくさせた。この不感無感は、被収容者の心をとっさに囲う、なくてはならない盾なのだ。 
『夜と霧』(フランクル)P33より

被収容者は毎日いかなる時でも看守から肉体的・精神的に暴行を受けていた。最初は、暴行を受ける方も、またその場面を目撃した別の収容者も辛い感情を抱いていたが、日が経つにつれ何も感じなくなってしまったとのこと。

これを現代社会に当てはめると、例えば、ブラック企業に勤めて、長時間労働に従事していると次第に心を病んでくる。暴力的な上司の下で、自分や同僚が叱責を受けていると次第に慣れてきて、あげくには何も感じなくなるのと同じだ。

また、残虐な事件が日々報道される。これらの事件は私たちが解決しないといけない社会的病理から引き起こされるのだが、そのうち、そんな事件が起こる毎日に慣れてしまう。

この国では毎年判明しているだけでも年間3万人以上の人が自らの手でその命を終わらせているという現実がある。東京で電車に乗れば毎日のように人身事故の放送を見聞きする。だから、現実に人が亡くなっている人身事故の放送を見聞きしても慣れてしまい、多くの人は何の感情も抱かなくなる。

それよりは、有名菓子店の行列にいち早く並ぶことや待ち合わせの場所に遅れないことの方が重要になってくる。感覚が麻痺してくると、人身事故に遭遇するなんて「なんて運が悪いのだろう」と考えるようになってくる。人が死んでも、どこ吹く風。他人事だ。この部分は自戒の意味も込めて書いている。

さて、話を講義の核心に戻そう。

過酷な収容所の中で、フランクルがなぜ生き延びることができたのか。それは、未来に焦点を当てていたからだ。彼は収容所の中で以下のような未来を思い描いていた。コーチングでいうところのゴール設定だ。

突然、私は浩々とした明かりがともり、暖房がきいた豪華な大ホールの演台に立っていた。私は坐り心地のいいシートにおさまって、熱心に耳を傾ける聴衆。そして、私は語るのだ。講演のテーマは、なんと、強制収容所の心理学。
『夜と霧』(フランクル)P124より

この未来のゴールを信じ思い描いていたからこそ、生きるエネルギーが湧いてきたのだ。事実、彼は戦後この各国な体験について世界中で講演している。一つのゴールを達成したのだ。

余談だが、アメリカで定年退職をしてゴールを失った人の平均寿命はたった18か月という統計結果がある。言い換えれば、人間は未来を失った時点で生きる気力を失う。裏を返せば、ゴール、未来を思い描けるから生きていける。

そう考えるとコーチの役割はとても大切だ。世の中はネガティブな情報で溢れている。あたかも、それが事実で人々が未来を思い描けないように陥れられている。先にあげたこの国の自殺者の以上数は、ゴールを設定できていない(未来を思い描けていない)からだと確信している。

絶望に陥ったクライアントのゴールを信じ、どんなに現状の外側のことでも徹底的にサポートして達成してもらう。コーチとして10割10分良くする。

絶望に陥ったクライアントは、問題解決方法なんてないと思い込んでいる(スコトマに隠れている)場合がほとんだ。しかし、その時点で見えていなくても、解決方法はあると信じて進んでいけば、ある時、パッと解決方法が見えてくる。

自分に起こることは、いかなることでも自分で解決できることである(自分に解決できないことは、自分には起きてこない)
自分に起きた問題の解決策は、途方もない方角からやってくる(だから、今お手上げ状態でも決してめげてはならない)。

『夢をかなえる口ぐせの心理学』 佐藤富雄 p167より

クライアントの今の問題を抱えた状態から、未来のゴール達成した(問題解決)状況へ投げ飛ばす。これもコーチの果たす大切な役割だ。

また、フランクルは以下のように述べている。

「あたえられた環境でいかにふるまうかという、人間としての最後の自由だけは奪えない「・・・中略・・・」つまり人間はひとりひとり、このような状況にあってもなお、収容所に入れられた自分がどのような精神的存在になるかについて、なんらかの決断を下せるのだ。

つまり、自分の置かれた状況や環境がいかに最悪でも、それを運命として諦めるか、それとも人生は自分でコントロールしていくのかの主導権は自分で選べるのだ。もちろん、後者を選択するにはそれなりの覚悟入る。流されて生きていく方が楽かもしれない。だけど、それでいいのか?

上記からも想像頂けたと思いますが、文野コーチらしいボリューム満点かつレベルの高い講義内容でした。その他、脳神経科学の観点からもなぜ人間がネガティブな感情を抱くのかということについてお話しいただきました。コーチとしての在り方を改めて考えさせられた今日この頃です。

文野コーチのお話は、認定コーチ養成講座で取り扱われても遜色のない内容です。それくらい価値の高い講義なのです。

文野コーチのブログ
http://mind-architecture.officialblog.jp/

なんとこちらのインターネットラジオで文野コーチがセミナーの感想を振り返っておられます。
今回のセミナーについて、ご本人がお話をされている貴重な音源です。

Change the world 世界を変えるコーチング インターネットツアー第21回放送

10月18日(日)
大阪セミナーでセミナーをおこないます。

出演
アイドルコーチング 佐藤コーチ
ドイツ在住 光子コーチ
斎藤

詳細は↓
http://blog.livedoor.jp/success_/archives/1037744515.html