I’m Loving it!の罠 言葉とロゴと、アファメーション

I’m Loving it!の罠 言葉とロゴと、アファメーション

前回ブランドについて記事を書いたら反響が多かったです。「そんなことまで考えてなかった」「貴重な情報をありがとう」とお言葉を頂けました。

嬉しいことにドイツ在住の光子コーチにも記事を引用して頂けました。
https://mitsukocoaching.wordpress.com/author/mitsukocoaching/

引用された記念として、今回はブランドのキャッチコピーについて調べてみました。

タラッタッタッター
I’m loving it!このキャッチコピーをご存知でしょうか。おそらくテレビ、ラジオ、チラシ広告から見たり聞いたりしたことのある人は多いのではないでしょうか。上にあげたドイツでも同じではないでしょうか。

この言葉を思い浮かべるだけで、あのマークが思い浮かぶのではないでしょうか。

思い浮かんだとしたら、マクドナルドが私たちの心(情報空間)をハックしたということです。一本取られましたね。

これがYou’re loving itであればどうでしょうか?

主語をYouあなたとすれば、多くの人に「あなたコレしなさい! お前はどうのこうのと!」と命令された記憶を連想してしまします。

プッシュ、プッシュバックという作用が働きます。人は、強制的に押されると、その力に対して反発しようとする習性があります。無意識も同じような習性があり、心理的に押されると、「やらないようにする」という反発の力が働きます。

なのでI(私)を主語として反発を受けないようにしているのです。

もう一つの意味
さらにカラクリがあり、I’m loving it! (私はそれが好き)と唱えることで、消費者である我々に自己暗示として作用します。

自分自身にマクドナルドを「愛せよ」と指令を発するようになる。
デイビッド・ルイス (著), 武田玲子 (翻訳) 『買いたがる脳 なぜ、「それ」を選んでしまうのか?』日本実業出版社 P195

I’m loving it!ゆえに、仮にマクドナルドがイメージを損なうような出来事に遭遇しても、I’m loving it!の魔法が、それを見えなくさせてくれます(私はマクドナルドの味好きです)。 下記を引用します。

感動的な言葉や巧みな表現で購入を誘うブランドは少なくない。感情的な状態は恍惚状態に等しく、記憶は状態に依存するものなので、もし広告によって特定のブランドと現実世界が結びつくような情動を引き起こせれば、同じ情動を経験するたびに無意識にブランドを想起するようになる。つまり、ある種の自己暗示である。
デイビッド・ルイス (著), 武田玲子 (翻訳) 『買いたがる脳 なぜ、「それ」を選んでしまうのか?』日本実業出版社 P194

コーチング理論で言えば、I’m loving it!の臨場感が高まり、イメージダウンはスコトマ(盲点)に隠れてしまうということです。

もしかしたら、人によっては、たとえマクドナルドの味が悪い時でも、I’m loving it!が美味しいと味覚を書き換えてくれるかもしれませんね(繰り返しますが、私はマクドナルドの味好きです)。

ライオンマークのホテルでは
別の例として、外資系ホテルのリッツカールトンを取り上げます。このホテルのモットーは、“We are Ladies and Gentlemen serving Ladies and Gentlemen” (紳士淑女をおもてなしする私たちも紳士淑女です)

このWe(私たち)にはホテルの従業員のみならず、暗に泊まったお客さんも含まれているものと推測します。

リッツカールトンとしてはお客さんも選びたいハズです。ホテルに敬意を払って大切に思ってくれる、紳士淑女に泊まってもらいたいと考えているハズです。

さりげなくお客さんを選んで、少なくともホテルでは紳士淑女でいてくれるように工夫を凝らしているのです。

リッツカールトンのスタッフ達は、毎日この言葉を唱和するそうです。アファメーションでもあります。

ちなみに、名ブロガーと言われる方々は、本来は「あなた」と書くところでも、「私たち」と表現しています。私たちにすることによって読者と間の臨場感が高まり信頼関係が高まるからです。

では、簡単にYou(あなた)を主語にしたコピーはどうでしょうか。

ある化粧品会社では
化粧品のロレアルはBecause You’re Worth itと謳っています。意味は、なぜならあなたには価値があるからです。

言われた方としては嬉しいメッセージです。しかし、自己評価の低い人や、ロレアルと信頼関係が気づけていない人(間合いが取れていない)へ一方的にこの言葉を投げかけると、「そんなことはない」と反発してしまいたくなるのでは。
「どーせ私は美人じゃないし」と内心反発されそうです。

We’re Worth it.私たち(お客さんとロレアルの信頼によってつくられた化粧品)に価値がある。その価値がある関係がお客様をさらに魅力的に輝かせます~とストリー展開した方がよかったのではないかと勝手に心配しております。

ただし、アファメーションを教えるうちに学んだことで、主語をI(私)ではなくYou(あなた)とした方がスーッと入ってくる人もいるそうなので一概には言えませんが。

曖昧性をもたせる
また意図的に、主語を特定していないキャッチコピーもあります(但し、日本語の場合は主語を省くことが多い)。読み手の心の中で、その人の情動記憶をとおして良いイメージが浮かぶ。そして、勝手に好意を抱いてくれるようにするためです。上にあげたように自分の情動が絡んでいるので強烈です。

このように、ブランドを認知させるためにあの手この手で私たちの心に介入しようとします。以前、21世紀は、洗脳 対 洗脳と書きましたが、意味はこういうことです。何気なく仕掛けられているのです。

抽象度を高くして、そう簡単には仕掛けられない賢い消費者でいましょう。

まとめ
仕掛ける側は、言葉で巧みに、消費者のブランドイメージが良くなるように操っている。消費者は、そのブランドを見たり、聞いたりするたびに、良い感情を抱き、好意的な態度(購買活動、口コミによる宣伝)を取ろうとする。

キャッチコピーの主語をIやYouにするだけで効果が違ってくる。意図的に、曖昧な意味を抱かせるために、主語を付けていないキャッチコピーもある(但し、日本語の場合は主語を省くことが多い)。

このようなカラクリを知った抽象度の高い賢い消費者であることを願います。

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