最高のブランドを手に入れる方 

2015-11-30

皆さんはブランドをどのようにお考えでしょうか?

 

あのブランドだから信用できる。

このブランドは素晴らしい。

 

本来は一人ひとり志向や好きなものが違うのですが、多くの人が特定のブランドに価値があると考えてしまうのはなぜでしょうか。

 

例えば、スポーツジャージを買う場合に、ノンブランド品ではなく、ナイキやアディダスの有名ブランドロゴが入った製品を買ってしまうのではないでしょうか。

品質的、機能的に同じでも、ブランド名が入ったジャージの方が多少の値が張っても、そちらを選ぶ人が多いと思います。

 

また、ある人は書店で気になる本を見つけた際は、まず最初に著者の出身大学を確認するそうです。そして東大、早稲田慶応といったいわゆるブランド大学であれば信用して買うそうです。

 

思いきりスコトマをつくっていると思います。ここまでの人は稀でしょうが。

 

また、これも別の人から聞いた話です。美術館で来館者が絵を見る際に、最初に絵の解説を読んで、それが有名な作家の作品であれじっくり見て、そうでなければ次の作品にスキップするという話を聞いたことがあります。

 

これもブランドに影響されている証拠だと思います。美術館に行けば、大体の人がこんな感じです。

 

まあ、日本人によくありがちな傾向だなと思った方もいるかと思います。しかし、この傾向は日本人だけではないようです。

 

アメリカの事例を紹介します

 

アメリカの平均的な10歳の子どもが知っているブランドは300~400種類を数え、14歳になると90%に好みのブランドがある。子どもたちがブランドを意識するようになった年齢を母親に聞いてみると、3歳という回答が全体の3分の2、2歳という回答が3分の1である。

デイビッド・ルイス (著), 武田玲子 (翻訳) 『買いたがる脳 なぜ、「それ」を選んでしまうのか?』日本実業出版社 P175
またイギリスの10代の例では、

 

ブランド名だけで富裕層であるか、中間層であるかを区別し、その基準に従ってあらゆる判断をしている実態が確認されている。ブランドは所得水準だけでなく、知性、成功、教育レベル、思いどおりの人生であるかどうかまで表すと信じているのである。また、社会的階層が高い家庭の方がブランド意識は強い。

デイビッド・ルイス (著), 武田玲子 (翻訳) 『買いたがる脳 なぜ、「それ」を選んでしまうのか?』日本実業出版社 P176

人間はブランドに影響されやすい?

 

人々がなぜブランドに価値を感じるのか下記が参考になりそうです。

 

現代では物理的な商品の品質よりも、情報に価値を求めます。1杯300円のスターバックスのコーヒーと、1杯2,800円のリッツカールトンのラウンジのコーヒーがあります。

(中略)

どんなに希少価値の高い品種でも、コーヒー豆の5倍も10倍もするとは思えません。もちろん値段が5倍高いから5倍おいしいとか、ポリフェノールが5倍含まれているはずもないでしょう。

(中略)

高価格の大部分は物理空間の価値ではなく、高級ホテルのコーヒーというバーチャルバリューが生み出しているということ。

 

苫米地英人著 『君も年収1億円プレーヤーになれる』宝島社 P48

 

このように現代人はブランドという情報空間に価値を感じています。

脳の発達と情報価値としてのブランド

脳の働きに関しては下記を見てみましょう。

 

有名なブランドを見た場合、肯定的な自己認識、報酬に関わる脳内部位が活性化していた。また、情報処理の労力も少なかった。一方、有名でないブランドは記憶の働きや否定的な感情に関わる部位を活性化させていた。
デイビッド・ルイス (著), 武田玲子 (翻訳) 『買いたがる脳 なぜ、「それ」を選んでしまうのか?』日本実業出版社 P186

 

これの意味するところは、脳としては、有名ブランドを認識して処理するのは楽だということです。前にもお伝えしましたが、脳は超手抜き器官です、楽をできる方に快を感じるのです。

 

また有名ブランドはしばしば権威シンボルとなりえます。心理の面から引用します。

 

権威者に対して自動的に反応する場合、その実態にではなく権威の単なるシンボルに反応してしまう傾向がある。この点に関して効果のあることが実験で明らかにされている3種類のシンボルは、肩書き、服装、そして装飾品である。これらのいくつかを所有している(そして、他の正当な資格をもっていない)個人は、実験場面において、相手から多くの承諾を得た。さらに、いずれの場面においても、服従した人は自分の行動に及ぼす権威者の影響力の効果を過小評価していた。

ロバート.B.チャルディーニ著 社会行動研究会訳 『影響力の武器(第2版)』誠信書房P372

 

このように心理面から権威シンボルは人に影響を与えることが確認されています。

私も所有している某資格のバッチを付けると明らかに周りの対応が違って驚くことがあります。

 

ブランドと情動喚起

再び脳内の動きに注目してみましょう。

例えば、ショッピング中、買いなれたブランドの商品を見つけると、まず(脳内の)「感覚視床」と呼ばれる部位に情報が送られる。そこから扁桃体に情報が直送されて即座に反応するか、もうひとつの低速経路で記憶と照合し、慎重な反応をする。その場合の記憶とは、すでに知っていること、知っているといもっていること、さまざまな感覚からの情報である。

(中略)

私たちの脳は、認知システムから情動システムへのつながりよりも、情動システムから認知システムへのつながりの方が強固なので、情動が意識を圧倒する可能性がある。

デイビッド・ルイス (著), 武田玲子 (翻訳) 『買いたがる脳 なぜ、「それ」を選んでしまうのか?』日本実業出版社 P183-184

 

これの意味するところは、親や身近な存在から特定のブランドは素晴らしい、そしてそれを実際に身に付けたことにより他人や社会から評価されて誇らしい、嬉しいなどの情動を感じる。

その情動が記憶と結びつく。やがてそのブランドを見るだけで脳が発火して、またその心地よい情動を思い出すということです。

アンカーとトリガーの関係です。

上の服装、装飾品、肩書の場合もそれを見たり感じたりするだけで上のような脳内処理がされていると考えられます。

 

対応策

ブランドや権威から逃れる方法について考えてみましょう。

脳内処理ゆえに逃れられないとお考えの方もいるかもしれせん。

しかし、ブランドや権威に対してじっくりと観察してみる必要があります。本当にそれは価値があるものなのか、社会的に仕掛けられた罠ではないかと疑うことも大事です。

ただのネームバリューに踊らされているだけではないかと。

私は本当に今それを欲しているのだろうかと内省する必要があります。

 

コーチングと絡めると

いつものようにコーチングに絡めたいと思います。

好きな志向や好みがあって一概には言えませんが、私的には、有名ブランドに操られ過ぎるのはエフィカシーが低いと考えます。

あくまでも私的な意見ですが有名ブランド品で身を固め過ぎるのは、自信のなさ(エフィカシーの低さ)の裏返しではないかと推測します。

目立たないところでさりげなく持っているから粋であると思います

 

なぜならば、私はこのブランドを持っているからスゴイ、この会社で働いているからスゴイと感じた場合、仮にそれがなくなると一気にエフィカシーが下がってしまうと危惧されます。

このような場合には、私が凄いからこの有名ブランド品がやってくるんだとか、この会社に所属しているんだと考えると良いでしょう。

自分が凄いから、同じように凄いものが引き寄せられてくるといった感じです。

早い話が、部分自信が有名ブランドであるというマインドセットをします。

 

まとめ

人は古今東西を問わずブランドに影響される。幼いころより、これには何々は有名だから価値があると刷り込まれる。

人間は脳が発達して、物理ではなく情報空間に価値を置くようになった。つまり、ブランドという情報に価値を置くのである。

有名ブランドを認識すると、脳は快を感じる。また、心理実験でも権威シンボルは評価に影響を及ぼすとの実験結果が報告された。

何度も有名ブランドを目にしたり、身に付けたりして他人から評価され誇らしいなどの情動を記憶する。やがて有名ブランドを見るだけで脳が発火して、その情動記憶を思い出す。

ブランドが根拠のエフィカシーは脆い。
むしろエフィカシーとは言わない。

それが無くなれば潰れてしまう危険性がある、なのでブランドに左右されるのではなく、みずからを有名ブランドとしてエフィカシーを高めていこう。

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