プライド×ラポール=スコトマ

プライド×ラポール=スコトマ

プライド

ゴール設定の邪魔をするもの、それはプライドです。

 

プライドとエフィカシーは違うのですかと質問を受けます。

 

プライドというと自尊心、自負心という意味で説明されています。これをもっと掘り下げると、

 

これは私のプライドが許さない、あの人はプライドが高いと言った具合に、何らかのメンタルブロックが掛ったようなニュアンスを感じます。

 

他人との関係性、どちらかと言えば比較で使われるような。

 

一方で、エフィカシーは、ゴール達成に関する自分の能力の自己評価です。自己評価ゆえに、他人は関係ありません。また比較をするならゴールを達成した自分です。

 

 

さて、プライドがゴール達成を邪魔するに戻りましょう。目を曇らせてしまうという感覚について。

 

ゴールを設定すれば、目の前の点在していたさまざまな情報が、ひとつに集まって道をつくっていくかの如く繋がります。

 

この時に、苦手だと思う人や自分よりも劣っていると感じている人、敵対していると感じる人に接触した方が効果的だと判明する場合があります。

 

だけど、プライドが邪魔をすれば、この人たちに聴いた方が効率的なのに接触を回避しようと試みます。クリエイティブアボイダンス(創造的回避)です。

 

結果、同じような人たちばかりから情報収集をしがちに陥ります。これだと同じような価値観の人から得るアドバイスなので、スコトマが外れにくくなります。

 

また人によっては、苦手な人たちのドリームキラーになってしまう人もいます。つまり、自分のゴールがあるのに、気に食わない奴も同じ方向を目指している。面白くないから潰してしまえという発想です。

 

残念ながら、クリエイティブ性をこういう時にだけ発揮してしまう人もいます。

 

なぜ、こういうことが起こるのかというと一つはプライドに起因すると考えます。他人との関係性により、ブロックが掛ってしまっているのです。

 

ラポールの功罪

もう一つ掘り下げるとラポールの関係です。ラポールとは信頼関係だと捉えても差し支えありません。

 

ラポールの構築された相手のいうことは、とくに疑うこともなく信じてしまう傾向があります。

 

優れた詐欺師は、相手に信用されるように取り組み、最後の肝心なところで騙します。

 

また外交の世界では、ヨーロッパのある大国は紳士と形容されます。しかし、その実態は紳士として信用されて、最後の肝心なところで騙すためだと囁かれています。

 

ここまで、大きな話ではなくても日常生活に置き換えてみてください。

子どもが通りすがりのおじさんのいうことや、親のいうことや先生の言うことをより真に受けてしまうのは、ラポールが構築されているからです。

 

有名人ということだけで、あまり大したことがない内容でも、そうだそうだと共感して、信用してしまいます。

 

ワードショーなどで、有名人がコメンテーターとして登場します。ココで恐ろしいのは、専門家でもないのに、いろいろと語ります。

その中身が、本人の思い付きからくる適当な発言であっても、この人が言うからと納得してしまいます。

 

テレビや新聞で行っていたからと一方的に鵜呑みにするのも危険です。

 

新聞記事(マスコミ)には事実はあるが、部分的事実である。錯誤、意図的な誇張と矮小がある

上田篤盛 『戦略的インテリジェンス入門 分析手法の手引き』並木書房 P281。

 

 

ブログから情報収集をする場合でも、人気のある方が、当たり前のことを書くだけでも、過剰にその通り、素晴らしい、この人は正しいと信じてしまいます。

 

ココでは深く掘り下げませんが、脳のミラーニューロンが発火が関連していると考えられます。

 

一昔前に流行ったステルスマーケティングを思い出してみてください。自分の好きなタレントが、ある特定の商品を宣伝します。

好きなタレントが引き金として、脳がドーパミン等の脳内物質を流して幸福感を感じますが、その流れで商品を捉えるので魅力的に見えてしまいます。

 

好きなタレントと商品を結び付けて捉えるのです。これを心理学では連合というそうです。

 

制服を着た男性が3割増しに見えるのも、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いも同じ原理です。

 

 

プライドとラポールがスコトマをつくる

もしかしたら本当に、ゴール達成に役立つ情報は、そうではないところにあるのかもしれません。

 

ブログの記事でも、有名な人ではなくて、一般の人(とみえるその道の玄人)からの情報発信に大切なことが隠されているかもしれません。

 

本の著者だって、売れっ子作家ではなくて、今日デビューしたての作家の著書に重要な情報が隠されているのかもしれません。

 

身近な例では、苫米地式コーチの情報発信を見てください。一昔前まで、とくにプロである認定コーチの情報発信が苫米地博士の本の要約だと揶揄されていました。

 

 

これは様々に要因があると思いますが、その一つは苫米地博士とラポールが形成されて、無意識のうちに情報発信が、博士の本と同化してしまった例だと考えます。

 

本に関しては、商業上の都合があるために、あまり都合の悪いことは書けないかもしれません。認知的不協和の状態はとくに。

 

なので、かつては読者から認定コーチの情報発信が当たり障りのないことを、浅くしか書いて無くてつまらないと言われたわけです。

 

実際に、私を含めてほとんどの人が金太郎飴だと言われました。

 

何か本質的なところがスコトマに隠れてしまったのかもしれません。

 

 

一方で、認定ではない、むしろコーチでもない方々が、生活に落とし込んだ記事などにその本質が書かれている場合があります。

 

理論を学び、しっかりと体感をされていった記事なので説得力があります。

 

認知的不協和の状態や反動でネガティブな状態に陥ってしまった時の状況がリアルに描いてあります。

 

 

認定コーチクラスになると、その体験をほとんど忘れてしまっています。

 

また人によってはイメージ戦略的にあえてポジティブな記事しか書かないという方もいるかもしれません。

 

 

が良く考えてみてください。物事には光もあれば闇もあります。光は闇があってこそ輝くのです。

 

その点を鑑みると、セルフコーチングを実施している人は、そういった方々の記事も参考になるでしょう。

 

なるほど、『この人もこういう過程があったのか、だけどこのように対処して前に進んでいるのだな』と追体験、代理学習が出来ます。

 

貴重な1次情報です。

 

これに対して博士の要約は2次情報、3次情報です。 2、3次と流れて行くうちに、1次情報より信憑性や精度は落ちていきます。

 

だけど、人によってはこの人はコーチじゃないし、とくに認定コーチじゃないしという先入観で貴重な情報をみすみすと逃してしまっていないでしょうか。

 

少しマニアックな例えなので、興味ない方は以下を飛ばしてください。

太平洋戦争時に、日本にはゼロ戦という戦闘機がありました。映画『風立ちぬ』で登場するあの飛行機です。戦争の序盤では、その優れた性能がアメリカ軍やイギリス軍からとても恐れられました。

 

だけど、実は太平洋戦争に突入する前に、アメリカ軍はその情報を入手しています。中国大陸に派遣されていたアメリカ軍の一団が『日本に新型戦闘機表れる。脅威であると』と本国に知らせています。

しかし、アメリカの作戦指導者は、日本のような東洋のサルに、そんな戦闘機がつくれる訳がないとタカを括って有効な対抗策を練らずにいました。その結果、戦争の序盤で手痛い洗礼を受けるハメとなりました。

 

また、イギリスにはシンガポールに東洋艦隊といわれる精鋭が展開していまいた。だけど、日本の海軍なんて俺たちに較べれば、大したことがないと慢心していました。

『日本の航空技術が格段に向上している』という情報がもたらされても、まともに取り合わなかったそうです。でどうなったかと言うと、戦争の序盤おいて日本の飛行機に壊滅させられました。

当時のイギリス首相ウインストン・チャーチル卿の回想録によれば、「これほど衝撃を受けたことはなかった」と述べています。

これも情報がもたらされたにも関わらずに、バイアスやスコトマにより対象を見くびってしまって手痛い被害を被った例です。

この例のように、こっちがホンモノで、あっちはニセモノだからという2分割思考だと、いつか足元をすくわれるかもしれませんよ。

 

ちなみに、この2分割は戦争ではプロパガンダ、商業ではマーケティングとして古典的洗脳手法として用いられています。

 

悲しいことに、部族や国民の大多数は、ある程度、計画的に敵をつくることによって、社会的連帯感と帰属意識を得ている。

(中略)

つまり、

われら  対  やつら

仲間     対  よそ者

同族  対  敵

といった敵対関係だ。

サム キーン (著), Sam Keen (原著), 佐藤 卓己 (翻訳), 佐藤 八寿子 (翻訳)『敵の顔―憎悪と戦争の心理学 (パルマケイア叢書)』柏書房 P21。

 

 

聡明なる皆さんはさらに抽象度を高く、単純な2分割に惑わされることなく、立体的かつ総合的に情報を判断していくことを提言します。

 

コーチングであれば、苫米地博士やルータイスの著書も、(認定)コーチの情報も、そうでない方(苫米地式でないコーチングも含む)が書いた記事も、総合してゴール達成に役立つように組み合わせて行くこと。

 

情報はキャッチボールし、組み合わせて精度を上げろ。

上田篤盛 『戦略的インテリジェンス入門 分析手法の手引き』並木書房 P281。

 

 

君が必要とする情報はそこにある。ただ情報は存在を主張しないからそれに気づかないだけである。

上田篤盛 『戦略的インテリジェンス入門 分析手法の手引き』並木書房 P280。

 

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ただし、変にブレンドして抽象度を落とさないようにね。効果が薄くなるから。

むしろ、効果が上がる方法を自分なりに見つけてみてください。かつ、皆のために広めていって下さい。

 

そもそも論

このブログの記事をお読みの方の本来の目的は何でしょうか。

 

やはりゴール達成に尽きるでしょう。

 

情報分析の世界では、優れた分析官は、そのバイアスやスコトマに惑わされることなく、作戦に関する基礎資料を広く集めるそうです。

 

そして、その中から情報を取捨選択して作戦に活かします。

 

皆さんも同じように、優れた読み手として、バイアスやスコトマに惑わされることなく、ゴール達成に関するあらゆる可能性を探し、その中から役立つものを取捨選択して、良き人生を構築していってください。

 

プライドにより目を曇らせることなく、エフィカイーを高く、ゴールという高い抽象度から捉えてみてください。

 

コーチングはゴールを達成してなんぼですから。

 

まとめ

・プライドが時には目を曇らせる

・1次情報に価値あり

・ゴール達成に役立つように情報を調理せよ

 

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