『抽象度って一体何の役に立つのですか?』仕事編 

『抽象度って一体何の役に立つのですか?』仕事編 

※昨日のメルマガ加筆・修正です

抽象度という概念があります。

簡単にいえば、高い次元から物事を俯瞰して観ることができる能力のことです。

 

とはいえ概念は分かったけど、『じゃあそれが一体何の役に立つの?良く分からない』という質問を頂くので、サンプルとして一つの回答を書いてみます。

 

もっとも身近な例として抽象度が仕事に役立つ場合をあげます。

 

例えば、あなたは宅配便を扱う会社でアルバイトをした場合を考えます。

アルバイトには会社の経営や政策決定を任せられる仕事は与えられません。

むしろ目の前の荷物を裁くことが求められます。

 

単純作業&肉体労働で、ハッキリ言ってスキルは身に付きません。もっと正直にいえば体力面から考えてこういった単純な肉体労働をできるのは30代まででしょう。

賃金も安く、高給を得たいと思って頑張っても、おそらく身体が持ちません。

 

雇用面からみてもアルバイトは、いざ会社が不景気に見舞われたら雇用調整弁として即刻解雇の対象になりやすい。

世知辛い世の中では、解雇されても自己責任の一言で片づけられます。

 

 

ちなみに、これが資本主義の本質です。資本家が儲けるためには、労働者の皆さんは犠牲になっても致し方がないというのが本音です。

資本家の資本家による、資本家のための主義が資本主義です。

資本主義は内在的に労働者を搾取するという暴力性をはらんでいます。

もっとも、そのおかげで昔から資本家対労働者の階級闘争が叫ばれていきました。

 

さらに余談ですが、労働者を守る為に法律があります。

しかし法律を用いて、論理を組み立てて自分を資本家と闘うことこそ、高い抽象度を要します。

専門家に頼むと高い費用が掛かります。

法律も使えなければ泣き寝入りするだけです。

 

 

しかし、ここで抽象度を上げて部署のオペレーションという視点で見てみましょう。

例えば、何時に○○という荷物が入ってくる、反対に、何時間までに△△を発送するには、この作業が得意なAさんをこの配置に付けて、などと効率的な業務計画を立てることができます。

また繁忙期と閑散期を見分けたり、作業の流れを把握できたりするようになります。

 

こういった人はアルバイトでも上層部から評価が高い。

仕事をしっかりしてくれるので、雇う側からしたら辞めて欲しくない人間です。

 

雇う側のwant toを満たしてくれる人間であり、時給もアップもされるでしょう。また、より責任感のある仕事をして貰うために正社員に登用しないかというお誘いを受けることでしょう。

その理由は使い勝手が良いからです。

またここでの経験は同業種に着いた場合にスキルとして役立ちます。

 

 

 

さらに抽象度を高めればどうなるでしょうか。

会社の決算書が読めるようになります。決算書が読めれば、この会社の利益構造はこうなっている、今本社からの命令で動いているあの活動は、この点を補強するためなんだなということが理解できます。

経営者と同じ視点で自分の会社を取りまく状況を分析できます。

 

年に一度はアルバイトにも周知される経営状況の説明も即座に理解できます。

他のアルバイトの場合は、俺たちには関係ないと数字を見せられても全く頭に入ってきません。

その人たちには単に紙に数字が並べてあるだけです。

 

しかし、抽象度が高まり会計の数字に読み解くことができれば、例えば、特別損失がマイナスになっていることに気が付いて、この損失は去年の災害のせいなんだなということが分かります。

※特別損失とは、臨時的、偶発的に、企業の業務内容とは関係ない部分で発生した損失のこと。

 

 

じゃあこの数字を読めて何の意味があるんだ?と思うかもしれません。

まず株式会社であればどこの会社においても数字で動いています。

どこの会社に入っても共通言語で、これは東京の大企業に勤めても田舎の中小企業でも同じです。

 

そんな会社の仕事でも同じ現場作業でも儲かる仕事と儲からない仕事の見分け方ができるようになります。

 

もしくは儲かるためには、どの作業工程を改善すればいいのか誰も気がついていない問題を発見できる可能性が高まります。

問題は解決することよりも発見することの方が大切です。

 

まともな会社であれば、こういった人材は儲けに直結するので手放したくないでしょう。

 

 

 

そしてさらにいうとここが肝ですが、自分でビジネスを効率に回すことができるようになります。

もっとも中小企業の社長の8割が決算書を読めないと言われます。つまり雰囲気で会社を経営していることになります。

そして、この8割の社長が会社を潰しています。

 

 

しかし、逆に言えば、決算書を読めれば社長の中のトップ2割に入ることができます。

さらに、そのトップ2割の中においても、抽象度の高い観点から尖ったサービスを提供できれば当たる確率は高いです。

 

逆からみれば、業界や地域の中でトップ2割に入って、かつその中で決算書が読むことができれば勝ったも同然でしょう。

ランチェスター戦略ではないですが市場を独占するとはそれくらい強いのです。

また抽象度を上げれば、まさに抽象概念である決算書の数字と市場のニーズをひも解くことができます。

※ランチェスター戦略 イチバンが勝という考えの経営戦略

 

先に資本主義は資本家のための制度と書きましたが、自分でビジネスを行なうことは自分が資本家になることです。

資本主義の枠組みでお金を稼ぐには、流れにそって泳ぐみたいに自分が資本家になってしまうのが一番効率が高いです。

 

 

また抽象度が高ければ間違いなくビジネスのゴールも設定できるようになります。

高いゴールであれば、あるほどエフィカシー(自己能力の自己評価)も高まります。ここまでくれば鬼に金棒です。

 

 

また不思議と自分の抽象度に見合った人と繋がります。この周囲の人たちも活躍しているので、エネルギーをもらうことができます。

好循環が続きます。

 

もし仮に、他人からは一時的に失敗と思えるような出来事があっても経験や知識は財産になります。

もっともエフィカシーが高まれば失敗はなくなります。なぜならばエフィカシーが高まれば時間は未来から過去に流れていることが腑に落ちるからです。

 

なおエフィカシーが高まれば成功しやすいです。成功からみれば辿ってきた軌跡は全て成功です。

 

 

とまあ今まで現金なことを書いてきましたがつまるところ抽象度が高まればこういったことに結びつきます。