安室奈美恵さんの復活とその後の活躍は抽象度と関連しています。
抽象度とは情報空間での(概念に階層があるという前提での)情報量の大小のことでした。
抽象度が高い=情報量が少ない。
反対に、抽象度が低い=情報量が多いということでしたね。
情報量が多いとは具体的ともいいます。
安室さんも当初は抽象度が低いレベルから活動を始めたのでしょう。
事実、デビューしたての頃に、彼女が売りにしていたのは歌唱力やダンスなどで表される具体的な技術でした。
ちなみに、歌唱力は言葉という情報空間です。
ダンスは身体でおこないますから物理空間での活動です。
とはいえ、これらはもう一つ大きな視点(抽象度)からみれば技術という階層で、抽象度は高くありません。
また、より上位の抽象度の階層にある企画演出、プロモーションなどは会社やプロデューサーが担っていました。
しかし、プロデューサーと決別してからは、自分で企画・演出・プロモーション、さらにはスタッフのマネジメントなどを考えなければならなくなります。
他人のことや、その人たちの未来のことも考えないといけなくなるので必然的に抽象度が上がります。
また、こういったことは”好き”でなければ続けられません。コーチングでいうところのwant toです。
おそらく、プロデューサーとの決別後に、最初はどうやって自身を売っていけばいいのか分からなかったと推測します。
でも走りながら、考えていくことで、抽象度の高いゴールにたどり着いていったのでしょう。
どうすれば分からなかったことも、その都度、やり方を見つけていったに違いありません。
コーチングではinvent on the wayといいます。
こうした過程を経ることで、安室さんの抽象度は上がったのでしょう。
抽象度が上がるとは情報空間における位置エネルギーが高まるということ。
どういうことでしょう?
私たちにとって身近な物理空間で位置エネルギーが高まるケースを考えてみましょう。
たとえば、東京スカイツリーの高さまでサッカーボールを持ち上げることを連想してください。
次に、ボールを民家の二階とスカイツリーの展望台から放つことをイメージしてみましょう。
どちらからボールを落とした方が威力は強いでしょうか?
スカイツリーからボールを落とした方が衝撃は大きいですよね。
その答えはスカイツリーからサッカーボールを放つ方が、位置エネルギーが高いからです。
そして、位置エネルギーが運動エネルギーに転換されたから、落とした時の衝撃・威力が強いのです。
物理空間での、この現象は情報空間でも同じです。
思考を続けていけば、情報空間における位置エネルギーが高まります。
すなわちこれは、抽象度が高いということです。
この位置エネルギーをアクションに落とすと、空間を共有する他人の無意識に圧倒的な影響を与えます。
アクションとは、安室さんにあてはめると歌、歌詞、ダンスのことです。
この現象は古来から『気』と呼ばれてきました。
さて、ここまで読んで頂ければ『安室奈美恵さんが、なぜ1996年のブームの後にも、復活して圧倒的な存在として君臨してきたのか?』その答えがお分かり頂けたことでしょう。
この答えは『圧倒的な気』だったのです。
圧倒的な気とは、エネルギーに満ちているということ。
エネルギーに満ち溢れているから、デビューしてから引退まで走り続けることができまたのです。
また、このエネルギーはライブ会場に足を運んだり、もしくはそこまでいかなくても音楽を聴いたり、彼女の書いた歌詞(メッセージ)を読んだ人にも間違いなく伝わります。
だからこそ、ファンの女性たちから『安室ちゃんは私のことを歌にしてくれて、彼女の歌を聴いたらまた頑張れる気がする』という強い支持を得ることができたのです。
その正体は『圧倒的な気』だったのです。
※参考までに抽象度の補足です。
抽象度が低い=情報量が多く、抽象度が高い=情報量が少ないと説明しました。
抽象度を上げていく過程で、それまでの余分な情報は捨てられていきます。
そして、この捨てられた情報が位置エネルギーに転換したと考えて頂いてもOKです。