A子さんがなぜ恋愛が辛い状態から抜け出したのか。
その要因は時間の流れを逆に捉えることに成功したからです。
時間は『未来→現在→過去』に流れます。
と、その前に時間は連続していません。
プランク時間と呼ばれる時間の最小スケールがちりぢり、とびとびに非連続に存在しています。またプランク時間とプランク時間の間には壁があります。インド哲学では刹那俊と呼ばれる最小の時間です。
※プランク時間は10の-44剰分/1秒 ※ちりぢり、とびとびは離散的という ※刹那俊 1/ 75秒
私たちはこの瞬間、瞬間を生きています。ただ瞬間ではなくて、時間が連続して捉えてしまうのは人間の情報処理が追いつかないからです。要は、面倒くさいので時間を連続的に認識しているのです。
また別の瞬間と別の瞬間と時間が分かれていても、一瞬前と同じような景色、そしてあなたが同じ自分だと感じるのもホメオスタシス(縁起)です。ホメオスタシスは恒常性で同じ状態を維持しようと頑張ります。
ただし、このホメオスタシスも書き換えることができます。
実際に、今目の前でケータイをポケットに隠してください。
ポケットの外にあったケータイがポケットの中に入ってしまいました。これはケータイとポケットの間に維持されるホメオスタシスが書き換えられたからです。
なぜこんなことができるのかというと、それが瞬間瞬間は別世界ということです。要するに、次の瞬間、要は一瞬でケータイとポケットとの関係性が書き換わったからです。
関係性で思い出して欲しいのはあなたの自身です。
あなた自身も、両親が誰、勤め先が誰、パートナが誰、住んでいるところはどこという、あなたを取り巻く無数の関係性の中心点であり、それが自己イメージです。
ということは一瞬で関係性が書き換われば、自己イメージも書き換わるということです。
コーチングで現状の外にゴールを設定するとは、今のあなたを取り巻く周囲との関係性を根本的に変えてしまって、自己イメージを根本的に変えてしまえということです。
ここで時間の流れを持ち込みます。
まずあなたが想像する世界は可能性として存在します。
理想のあなたになった自分、そうでない自分、今よりも悲惨な状況な自分という、あらゆる可能性が未来に存在しています。
※未来が存在しているということをもっと詳しく知りたい方は、分析哲学のA理論、B理論、アビダルマ哲学等を学んでください。
この未来の可能性世界が現在に向って流れてきています。
ただ現在という瞬間として選ばれるのは、その可能性の中の一つです。
あらゆる可能性の中から、どれが選ばれるのかというと、もっとも臨場感が高い世界が選ばれてくる確率が高いです。
確率を高めていく力をエフィカシーと捉えることもできます。
コーチングでは、ゴールを設定して未来に働きかけます。
『未来に働きかけるってできるの?』とあなたは疑問に思うかもしれません。
しかし、現代物理学では時間と空間は一緒と捉えます。時空といいます。
あなたが広島に住んでいても、イメージの中で東京を想像できますよね。これは空間を超えたということです。
また、あなたが広島にいても、東京は同時に存在していますよね。実際に東京まで訪れて視認しなくても、広島駅に停まる新幹線の行先には東京と表示されています。東京と表示されているというとは、その先に東京がある証です。
時間と空間が同じと考えるならば、現在が広島で、未来が東京の関係のように捉えることができます。未来は既にあります。
ただし、その未来は一つではなく無数だということをお忘れなく。東京行きの新幹線に乗っても気が変わって、新大阪や名古屋、横浜で降りるかもしれないじゃないですか。それと同じです。反対に、東京駅を超えて成田経由でニューヨークに行くことも考えられますよね。
このように空間を越えて別の場所をイメージできるのなら、未来も同じくイメージできますよね。
未来をイメージ、より正確には未来の自分の姿とそこから見える世界をイメージを臨場感高くイメージする。
さっき説明したように臨場感を高くイメージすると、未来からその世界が選ばれてくる確率が高くなります。これが未来に働きかけるということです。
これがゴールのコンフォートゾーンの臨場感を高めなさいの意味です。
一方で、過去は後ろに過ぎ去っていくだけです。もう二度とやってきません。
しかし前回の記事でも書いたように、多くの人は過去にフォーカスします。過去にフォーカスするとは、過去の臨場感を高めるということ。
その臨場感を高めれば、必然的に未来も同じにならざるを得ません。
このように書いても、まだ納得できない(本当はしたくない)人もいます。
私が不幸な恋愛しかできないのは、生まれつき器量がないから、そういう性格だからという論です。
例えば、野球の才能がある子のケースを考えてみましょう。
野球の才能があれば将来はプロ野球選手になれる確率が高いと考えがちです。
でも怪我をして将来は野球選手になれないかもしれない。もしくはどこからのスカウトも来ずに、またトライアルテストにも受からないかもしれない。
はたまた全く違う分野に興味を持って作家になるかもしれない。
実際にプロ野球選手になって活躍すれば、『ああ俺はプロ野球選手に向いていたんだな』と思うでしょうし、周囲は才能があったと見做すでしょう。
一方で、プロ野球選手になれずに終われば、『ああ俺は才能がなかったんだ』と考えるでしょし、作家になればそもそも自分に野球の才能があったことすら考えないのかもしれません。野球の才能があったという認識を書き換えています。むしろ野球でなくて作家の才能があったと考えることでしょう。
ここから分かる様に、過去からの因果は未来に影響を与えていません。反対に、未来からの評価が過去を規定しています。
器量も性格も同じです。
未来から書き換えてしまえばいいだけの話です。器量も才能も自己イメージに含まれる情報なので、パソコンと同じで上書きすればいいだけの話です。
まあ、こんなことを書かなくても実際に大きな失恋をして、『もう死ぬ』『ご飯も喉が通らない』級のダメージを受けていたけれど、新しい恋人が出来た場合に『ああ、あの経験はこのためにあったんだ』と、都合よく過去を改ざんしていませんでしたか(笑)
かつ、都合よく過去の男のことも忘れていませんか(笑)
とくに女性の恋愛は上書き保存型と言われます。せっかくなのでこの特性を恋愛以外の人生全般に応用してしまえばいいのです。
さて、ここまで時間の流れについて説明が長くなりました。
A子さんの不幸な恋愛から抜け出して、『恋愛が上手くいくのが当たりまえ』と感じられるようになったのは『この時間の流れが腑に落ちた』ことも大きな要因の一つです。
『だから不幸をやめた』のです。
今回も長くなりましたので続きは次回に譲ります。