斎藤貴志的 洗脳された体験

斎藤貴志的 洗脳された体験

2015-08-26

 

僕が洗脳された経験を書こうと思う。当時在籍していた組織に迷惑が掛るといけないので詳細は省きます。

若かりし頃、新卒でとある組織に入った。そこで待ち受けていたものはオリエンテーションという名の指導だった。

そういう仕事だから仕方がないとして、そこでは真っ白な囚人服のようなものを着せられて、同期が一列に並ばされ、周りを紺色の服を着た先輩方が取り囲という状況だった。

そこで、仕事に必要な動きや号令を覚えさせられた。ちょっとでも遅れると怒号が飛び、もう一度やり直し。めちゃくちゃ怖かった。そんな指導が一週間毎日続いた。その時点で耐えられなくなって辞めていくものも大勢いた。過呼吸により救急車で運ばれた者もいた。僕も38℃の熱を出して医務室に送られた。

学生生活で学んだ知識が一瞬にして吹き飛んだ。それまで経験した余計な知識を取り外しましょうということだ。ハッキリと言えば、既存の価値観を破壊して、新しい価値観を埋め込む「タビュラローサ」という洗脳手法だ。

驚いたことに、一週間経過して指導が終わったら、先輩方が急に優しくなった。そうした方が、より先輩期や組織に対して好意をもちより忠実になるという仕掛けだ。それまでは、そんな組織の教育方法が、バカバカしいと言っていた周りの同期も、率先して組織の論理に染まり、自分も後輩を持つと同じような指導を施すようになる。

当時の自分も、自分の命と組織、どちらが大事かと言えば、間違いなく組織が大事ですと確信していた。

そこで学んだことは、私の自我だとかアイデンティティがどうのこうのと言っても、結局のところ、人は簡単に洗脳されるということだ。それなりの術者に掛れば、本当に赤子の手をひねるように人は洗脳されてしまう。

例えば、戦時中は鬼畜米英だったのが、戦後はギブミーチョコレート、親愛なるマ(マッカーサー)元帥に変わっていったのも同じである。戦後は、徹底的に検閲を施し、日本の過去を攻めたてまくり(価値観を崩壊)、アメリカ型民主主義が一番だという刷り込み(新しい価値観の埋め込み)を戦略的に行ったらしい。これも、ウオー・ギルト・インフォメーション・プログラムという国家レベルでの洗脳である。

今でも右傾化だとかなんだとか騒がれ、憲法9条改正反対、戦争反対だとか盛んにデモ活動をしているが、あまい。国家が戦争解禁と決めれば、上の例を見ても分かるように大勢の国民は簡単に洗脳されてしまうだろう。権力の側に立てば、それくらい出来て当たり前。つまりは、まだ本気を出していないだけだ。だからこそ、権力の側の手口を知っておく必要がある。

私たちはすべからく何かに洗脳されている。この事実に気が付いているか、そうでないかは物凄く重要なのである。最初に洗脳された経験と書いたが、正確には今でも僕は何かに洗脳されているのである。