1996年に絶大な人気を誇った安室奈美恵さんですが、その後の人気に陰りがみえはじめました。
颯爽とデビューした安室さんでしたが、ダンスは翌年登場したSPEED、歌唱力では宇多田ヒカルさん、ビジュアルでは浜崎あゆみさんなどの歌姫たちが台頭してきました。
デビューしたての頃の安室さんは、そのルックス、卓越した身体能力と歌唱力で、注目されていましたが、新しい歌姫たちの登場によって、次第にその影は薄くならざるをえなかったのです。
もっとも、1997年に結婚&出産でしばらく歌手業をお休みしていたということもあります。
また悪いことに、時代的にCDという媒体そのものが売れなくなりつつありました。
2001年には、それまでコンビを組んでヒット曲を連発してきた小室哲哉さんとも音楽性の違いから訣別、その翌年には離婚をしています。
90年代には時代のスターダムに乗り上げた彼女でしたが、次第に彼女は特別な存在ではなくなっていました。
そんな中でもシングルマザーとして子育てしながら、大好きな音楽を追い求めました。
しかし、後にその姿が同世代の女性たちの共感を呼ぶことになります。
かつてアムラーとして、安室さんのファッション、ダンス、そしてTKサウンドに魅了された女性たちは、今度は素の安室奈美恵の生き方と紡ぐ言葉に魅了されていったのです。
『安室ちゃんが紡ぐ言葉は私のことだ』といったぐあいに。
さて、安室さんは過去に放映されたNHKのドキュメンタリー番組において、1996年のブームとその後しばらくは用意された歌詞、ダンスを演じていたと明かしていました。
実はこの時、『今後どうなるのか毎日が本当に不安だった』とのことでした。
ちょうど、その頃にリリースされた曲『Can you cerebrate?』において、思わず本音が漏れていると思うのは私だけでしょうか
さて、1996年に安室さんの代名詞であった歌やダンスは技術にあたります。
技術は具体的であるがゆえに抽象度は低いです。
具体の対になる概念が抽象なので当然ですね。
技術はより新しい技術や方法が登場すると陳腐化しやすく、飽きられやすいという特徴があります。また他人から真似をされやすい。
その上位にあるマネジメントやプロモーションという抽象度があります。これは技術よりも上の抽象度(階層)です。
しかしながら、安室さんはここを自分以外の他人に握られていたのです。
ここを含めた、より上の抽象度を他人に握られてしまうと、どんなに技術を磨いても、他人の操り人形に過ぎません。
事実、安室さんはドキュメンタリーの中で、『90年代のブームのころの、私は会社やプロデューサーの操り人形だった。正直苦しかった』というようなニュアンスの発言をしていました。
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