数年前に『手取り14万、日本終わってますよね』というツイートが話題になりました。
ある女性が10年以上働いたにも関わらず、手取りが14万円から増えない惨状をツイートしました。
このツイートに多くの共感があつまりました。
ところが、ある著名人が『日本ではなく、お前が終わっているんだよ』と返して、大炎上しました。
どちらの主張が正しいでしょうか?
実は問題設定(問いかけ)によって、どちらも正解になります。
日本の経済成長という大きな視点からみれば、10年以上働いた彼女の手取りが増えなかったのは政府の失策です。
先進国で日本だけ働く人の賃金が30年近く上昇していません。むしろ低下しています。
私が小学生のころ、親戚や近所の兄ちゃん達が建設現場で1日アルバイトしたら一万円もらえると喜んでいました。
おそらく今だったら、同じアルバイトをしても8千円くらいでしょう。
もっとも、8千円でもデフレのおかげで当時よりも物価が安いので、今の8千円と一万円の実際の価値はあまり変わらないかもしれませんが・・・。
このように問題を日本人の賃金が10年働いても変わらない。これは日本政府の政策が失敗だったのではないか?と問いかければ、
はい、そうです。手取り14万、日本終わってますと、この女性に軍配が上がります。
でも、失敗は個人にあるという『ものの考え方や見方』では、この女性に非があることになります。
で、あなたはこの間、手取りを上げるための努力はしたの?という問いからは、彼女がもっと稼げる仕事に就かなかったことが原因だと。
先の著名人はこういった『ものの見方と考え方』で、そういった問いをしたのでしょう。
同じ現象でも問いが違えば、正解も変わります。
問題設定について、別の問題を取り上げてみましょう。
簿記3級という資格があります。
簿記とは会社のお金を記録する方法で、商工会議所が試験を取り扱っています。
この資格は事務職を希望する女性に人気の資格で、3級を受験する人はたくさんいます。同時に、資格保持者もたくさんいます。
以前、女性のキャリアアップを企画したアンケートをおこないました。
アンケート結果では、簿記3級は誰もがもっているから転職に役立たない。せめて2級でないと書類選考を通過しないと多くの女性がネガティブに答えていました。
『就職、転職に役立つ資格は何か?』という問いからみれば簿記3級は、その程度ということになります。
一方で、ビジネスパーソンとして会社のお金の流れ、数字を学ぶために役立つ資格はなにかという問い設定すれば、たちまち簿記3級の格はあがります。
簿記3級の中身は個人事業主や小さなお店が帳簿をつけるための役立つ知識です。
けれども、簿記3級はお金の流れや、数字を読むための神髄です。
神髄というくらいですから、簿記3級の知識だけで、実は国の借金が嘘だということがわかります。
簿記3級に、ほんの少し知識を付け足せば、すぐに決算書が読め、管理会計という会社が儲かるための知識も身につきます。
プレジデント ウーマン、日経ウーマンのような女性向けのキャリア誌を読めば、私の主張に納得するはずです。
また知り合いの社長たちに、簿記2級で事務職(経理)希望の人と、簿記3級の人どちらを採用するかと質問してみました。
答えは、2級を希望とのこと。
でも、少し質問をかえて簿記2級の事務員と、簿記3級だけど管理会計を使って会社に儲けをもたらすことのできる事務員だったら、どちらを採用する?とたずねてみました。
絶対後者という返事でした。
以質問を変えてみれば、手取り14万円問題も、簿記3級も答えが違ってくるのです。
最後に、同じような方法で、現状を変え、キャリアップをする方法はないのでしょうか?
次回はこのことについて深堀していきます。