フェイクニュースと認知戦

フェイクニュースと認知戦

2022-05-16

私たちが情報を受け取るときに『何をいったのか?』よりも『誰がいったのか?』の方が重要でした。

認知戦でも、誰がいったのか?という点がキモです。

認知戦におけるターゲットは、自国の人々です。

その中でも情報のあつかいに不慣れな人、もしくは現状に不満をいだいている人が標的になりやすいです。

情報のあつかい不慣れな人は、文字どおりですが、実は現状に不満をおぼえている人にも、ある種の情報がささります。

こういった人々は社会で、最低でも3割はいます。

この3割の『ものの見方や考え方』をコントロールすることに成功すれば、社会に影響をあたえます。

ボーリングでいう一番ピンで、これを倒すのに、もっぱら使用されるのがフェイクニュース。

かつては、政府の高官や企業の重役など、影響力のある人びとに対して、情報を隠すことが主流でした。

情報は上から下に流れるという法則があります。

上層部に情報を与えないとは、その社会、組織に属する人すべてに対して、情報を隠すことでした。このやり方で、『ものの見方や考え方』をコントロールしていました。

一方で、SNSが登場した後は、むしろフェイクニュースたくさん流します。

フェイクニュースを効率的に流すには、影響力のある人物の存材が欠かせません

この人物から特定の情報をリツイートしてもらいます。

たとえば、世界は陰の政府に支配されており、構成員は小児性愛者。米国のある政党筋の大物たちが、その組織に関係していると主張している団体があります。

この団体はSNS、とくにTwitterをたくみに使いこなしました。

Twitterといえば、元米国大統領がその使い手として有名でした(現在は使用禁止)。

元大統領は、この団体の主張をたくさんリツイートしました。目的は団体の主張を利用して、政敵の信用失墜をはかるためだったと考えられています。

大統領クラスともなると、フォロワーが世界中にたくさんいて、発言の信頼性も高い。

大統領がTwitterで情報をリツイートすればするほど、彼の発言が正しいと妄信する人があらわれたのです。

ついに、米国でも3割を超える人が妄信しはじめ、社会がゆらぎはじめました。

結果、昨年の1月に、この元大統領を信じる人たちが連邦議会を襲撃・占拠しました。

フェイクニュースを信じやすい3割の人たちの『ものの見方や考え方』に、ある意図をもった情報によって、社会を不安におとしいれることに成功したのです。

また人間は不安を感じると、安心したくなる生き物です。今度は安心するため、別の情報にすがりたくなります。

このすがりたい情報が安全な情報だとも限りません。

もっと悪意のある情報の可能性もあります。

繰り返しますが、この意図をもった情報は元大統領を介して発信されました。

まさに、『誰が言っているのか?』です。

『中身なんてどうでもいい』。

相手が信じれば、どんな情報であれ、その人にとっては本物です。

情報発信者の意図する行動を起こしてくれればいい。

現代n社会では、私たちの『ものの見方や考え方』がターゲットにされています。それが認知戦です。