私たちが情報を受け取るときに『何をいったのか?』よりも『誰がいったのか?』の方が重要でした。
認知戦でも、誰がいったのか?という点がキモです。
認知戦におけるターゲットは、自国の人々です。
その中でも情報のあつかいに不慣れな人、もしくは現状に不満をいだいている人が標的になりやすいです。
情報のあつかい不慣れな人は、文字どおりですが、実は現状に不満をおぼえている人にも、ある種の情報がささります。
こういった人々は社会で、最低でも3割はいます。
この3割の『ものの見方や考え方』をコントロールすることに成功すれば、社会に影響をあたえます。
ボーリングでいう一番ピンで、これを倒すのに、もっぱら使用されるのがフェイクニュース。
かつては、政府の高官や企業の重役など、影響力のある人びとに対して、情報を隠すことが主流でした。
情報は上から下に流れるという法則があります。
上層部に情報を与えないとは、その社会、組織に属する人すべてに対して、情報を隠すことでした。このやり方で、『ものの見方や考え方』をコントロールしていました。
一方で、SNSが登場した後は、むしろフェイクニュースたくさん流します。
フェイクニュースを効率的に流すには、影響力のある人物の存材が欠かせません
この人物から特定の情報をリツイートしてもらいます。
たとえば、世界は陰の政府に支配されており、構成員は小児性愛者。米国のある政党筋の大物たちが、その組織に関係していると主張している団体があります。
この団体はSNS、とくにTwitterをたくみに使いこなしました。
Twitterといえば、元米国大統領がその使い手として有名でした(現在は使用禁止)。
元大統領は、この団体の主張をたくさんリツイートしました。目的は団体の主張を利用して、政敵の信用失墜をはかるためだったと考えられています。
大統領クラスともなると、フォロワーが世界中にたくさんいて、発言の信頼性も高い。
大統領がTwitterで情報をリツイートすればするほど、彼の発言が正しいと妄信する人があらわれたのです。
ついに、米国でも3割を超える人が妄信しはじめ、社会がゆらぎはじめました。
結果、昨年の1月に、この元大統領を信じる人たちが連邦議会を襲撃・占拠しました。
フェイクニュースを信じやすい3割の人たちの『ものの見方や考え方』に、ある意図をもった情報によって、社会を不安におとしいれることに成功したのです。
また人間は不安を感じると、安心したくなる生き物です。今度は安心するため、別の情報にすがりたくなります。
このすがりたい情報が安全な情報だとも限りません。
もっと悪意のある情報の可能性もあります。
繰り返しますが、この意図をもった情報は元大統領を介して発信されました。
まさに、『誰が言っているのか?』です。
『中身なんてどうでもいい』。
相手が信じれば、どんな情報であれ、その人にとっては本物です。
情報発信者の意図する行動を起こしてくれればいい。
現代n社会では、私たちの『ものの見方や考え方』がターゲットにされています。それが認知戦です。