コーチングではゴール設定が大事です。
しかし、これが難しいという人もいます。そんな未来の自分の姿が描けないとのことです。
もしかしたら、あなたも同じようなことで、お悩みかもしれません。
でも、ご安心ください。ある方法でゴール設定が用意になります。
それはもう何度も書いていますが、抽象度を上げることです。
単純にいえば、抽象度を上げるとは視点を上げることです。普通に考えれば、視点を上げた分だけ、遠くが見えてきます。
なので、抽象度が上がった分だけ未来の希望もおぼろげながら見えてきます。そこからゴールがなんとなく見えてくるものです。
今回はその点をもう少し補足します。
まず、現代の科学では時間と空間は一緒だと捉えます。時空ってやつですね。ここがポイントです。
まず空間に関してですが、今私たちが地に足を付けている世界を物理空間と呼びます。そして、この物理空間はもっともエントロピーが増大した場所です。
エントロピーというと何だか難しい響きで、この時点でこの記事を読むのをやめようかなと思われるかもしれません。簡単に説明すると、無秩序の度合です。したがって、さっき書いたエントロピーが増大するとは、無秩序の度合いが高まるということです。
あなたの部屋が時間とともに散らかるのはエントロピーが増大するからです。ふつう逆はありえませんよね。一方で、部屋がきれいになるためには、それなりの労力、エネルギーを要します。しかし、よくよく考えてみると、部屋は綺麗になっても、あなた自身が汗をかいたり、掃除機の中にゴミが溜まったりで、部屋全体のエントロピーは増加しています。
さて、先ほど物理空間はもっともエントロピーが増大した場所だと説明しました。だとすれば世界は無秩序で整合性のない世界のハズです。
でも、あたかもビルが一列に連なり、道路が規則正しくあるのは、それは私たちが世界をそう認識しているからです。要するに、あなたのココロが世界を秩序立たせています。その分、もしかしたらあなたが観ていない後ろの世界はもっとごちゃごちゃしている世界なのかも知れません。
ただ、あたかも世界が立体的に繋がって見えるのは、それはあなたが他人と世界を共有しているからです。合わせ鏡のように、あなたのココロの世界を、他人のココロがそれを反射しているので、あたかも世界が永遠のように感じられるだけなのかもしれません。
物理空間は本来は無秩序だけど、そうは見えないのは人間の認識によるからです。でも、やがてはその人間の物理的な肉体も亡くなったら腐敗します。このことからも、エントロピーは増大することが分かります。
一方で、抽象度を上げるとエントロピーは縮小します。無秩序から秩序に移行します。統合といった方がいいかも知れません。統合するとは、ざっくり言えば、無秩序の中から規則性やパターンを見出すことです。
例えば、あなたが不幸な恋愛ばかりを繰り返したとしましょう。なんで私は不幸なんだろうと嘆き悲しみますが、経験により知識が増えて、ある時、不幸になるパターンが認識できます。
だから同じ失敗を繰り返すんだと。その結果、不幸な恋愛を止める決心がつき、幸せな恋愛のゴールを選びます。本気で設定すれば、不幸な恋愛をもたらしそうな男の匂いを嗅ぎ分けて、それを回避することもできます。
またはあなたが初めて農機具工場の購買係の仕事に取り掛かった時に、最初はどうしていいのか分からず、誤発注を繰り返します。購買係の仕事は、製品を組み立てるための部品を手際よく入手することです。在庫が残らないようにしなければなりません。
しかし、長く続けていればある時、突然、発注のタイミングが分かるようになります。同じく、明日や一か月後のおおよその生産台数やラインの予想もできるようになってきます。
これらが、一段上の抽象度に上がった結果です。
さらに出世をして、視点が上がれば、生産管理部が何を考えているのかも分かるようになりますし、設計部がどのような機種を新規に開発しようとしているのかが分かります。
それに伴って、コストと品質を安く仕入れることのできる取引先も開拓できます。
経営陣になれば、世界の農業の動向を予想して、どこで売れればいいのか?今後はどのような機種が流行るのか予測が建てられるようになります。
抽象度が高まる=視点が高まることなので、時間軸上の未来が視界に入ってきます。
その未来から今自分が成すべきことも分かります。
そして、この抽象度の階段は何段もあります。
別の例で考えてみましょう。
例えば、あなたは気を失って、気がついたら知らない家にいることとしましょう。あくまでも例え話です。
最初は、1階の部屋しか見られなくて、そこの部屋にはあなたの望む部屋がないかもしれません。コンクリートだけで、何もない殺風景な空間かもしれません。
でも2階に上がることができれば、そこにダイニングやキッチンがあり、さらに3階に上がれば素敵な部屋があり、さらに6階に行けば隣の建物に繋がる廊下がある事に気がつけます。
上の階に行けばいくほど、家の構造はこうなっていたんだと知ることができます。なおかつ、1階のコンクリートは車庫だっただと気がつけます。
同時に、6階からの眺めと、1階からの眺めは違います。1階にからだと周囲は壁に遮られて、遠くが見わたせませんでした。だから、あそこに行こうと思えないハズです。しかし、6階からだと壁の向こうの世界、町内はおろか隣町くらいは見わたすことができます。あそこに行こうと想像もできるようになります。ゴール設定です。
どうでしょう、ここまでで抽象度を上げるとは、自動的に未来の可能性がみえてくることが、何となくご理解頂けたと思います。
以下は、もっと興味があればお読みください。
抽象度が高ければ、高くなるほどエントロピーは小さくなっていきます。つまり、秩序ある世界になります。
このまま人類の技術や知能が発達していけば、未来の世界はより完璧に近い、秩序のある、
整合的な世界に向かっていくと思いませんか?
一方で大昔を想像してみてください。三葉虫が這いずりまわり、火山は噴火して、突然陸地が隆起したり、しっちゃか、めっちゃかだったりで無秩序な世界を形成してますよね。エントロピーが増大した世界です。
一般的な宇宙論では、ビッグバンが始まって、宇宙が膨張していく、エントロピーは極小のビッグバンから、増加の一途を歩む。時間は過去→未来に流れると説きます。部屋の乱雑さ度合も同じくです。エントロピーは極小→増大していくのでしたよね。
ただし、これは抽象度という視点が抜けた物理宇宙しか見ていません。
情報空間では時間は逆向きに流れます。未来→過去です。エントロピーが極少の未来から過去に向けているのです。だから放っておいても部屋が勝手に散らかるように、時間は未来からやってきます。
そして、ここで思い出してほしいのは抽象度が高ければ、高くなるほどエントロピーは少なくなるということです。
また、冒頭に時間と空間は同じであると説明しました。
ともすると、抽象度上げることと、未来に働きかけることは同じでないかい?ということに気がつけますよね。
ゴールが何となく見えてきそうじゃありませんか?
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