商業高校に入学したとは前回書いた。
急に優等生になった僕のセルフイメージは一気に書き変わった。
1年生の終わりごろに、関西の有名私立大学に行きたいと思うようになった。サブゴールが決まった。
日本の大学入試では英語(受験英語)の比重が圧倒的に高い。ハッキリ言って、例え商業高校で100点を取っても、大学入試の英語には歯が立たない。普通化とは方向性が違うので致し方がない。
本屋でセンター試験の過去問を見るも全くわからない、未知の世界が広がっている。試しに、その大学や英語が難しいと言われる上智大学の問題みたら本当に違う世界の言語だということを痛感した。
普通ならそこで諦めるかもしれないが、なぜがこの時は正しい戦略を見つけて、愚直に戦術を実行していけば目標達成は可能だと思った。むしろ、ワクワクした気分だった。
今振り返れば、当時の現状とゴールの間にギャップがあったおかげでエネルギーが湧いて出たのだ。誰も、中学生の頃に、takeの過去形が分からずに立たされたことなんか知らないだろう。
この時も勝手に方法を思い付いた。まずは、本屋に言って受験テクニックの本を立ち読みしまくって、使えそうなものをピックアップした。
その中で、とある参考書に次のようなことが書かれていた。現役の東大生が書いた本だった。
大学入試で必要とされる英語は受験英語と言って、イギリスやアメリカで話されている英語とは違う。話す必要もない日本でつくられた人工言語であると。今思えば、オーストラリアから来たALTの先生が、意味は分かるけど非常に堅苦しく、つまらない問題と酷評していた。
反対に、僕はネイティブスピーカーですら解けない、レベルの高い問題だと勘違いをしていい気になっていたが・・・。
English for the Japanese People,by the People, to the People.
この人工言語は、文法、構文、長文の3つの力を養っていけば8割は取れるようになる。配点の関係上、文法は基本を押さえるだけで良いと書かれていた。要は、受験英語は事務処理となんら変わりがないとのことだった。
この本に、ピンとくるものがあり早速、書いてあることを実践した。
まずは文法と構文。 『大学入試New基礎英語頻出問題総演習 (即戦ゼミ (8))』という参考書を買って、これの語彙、文法問題を徹底的に解いた。解いたというよりは覚えたと言うが正解。
等位接続詞や形容詞の叙述用法などの細かい意味なんて覚えていない。
ただ、meke,have,letの次は動詞の原型がくる。Getの後はtoがくるみたいに記憶した。
ベルマーレ平塚 get とクリエイティブに語呂合わせを思い付いた。我ながら良く思いついたものだ。この時も、脳は勝手に方法を見つけてくれた。
基本的に文法はそれ以外の勉強はしていない。それだけで、十分だった。というより、学校の科目で簿記やエクセルの操作を覚えなければならなかったので、こちとらそれどころじゃないという状況だった。
単語を覚えた。正確な数字は分からないけど、単語は4,000語から5,000語 くらい覚えないといけなかった。中学で習った語彙力、学校で習う語彙力を総合しても1,000語くらいにしかならない。あと、3,000語をどうするか。
最初は、単語帳をみてひたすら覚えるように努めた。しかし、覚えても、覚えても忘れてしまう。人間として正常な反応だ。
が、忘れてしまったら話にならない。
何か良い方法はないかと本屋に向い、無意識に受験テクニックの本を立ち読みで読み漁った。本は買ってはいない。金銭的に買うことは出来たが、神経症だったゆえに、本に傷が付いたり、織り目が付いたりしたら気になってしまったので買うのはやめた。
むしろ、そこの本屋は自分の本棚くらいに思っていた(今○書店の皆さま、すいません)
今思えば、すべては「空だし」それでいいか。
本の中で、覚えようとしてはならない、見るだけで良いと書かれていた。つまり、毎日単語を覚えようとせず、見ていくだけで勝手に記憶に残っていく。確かに、重要だと思うものを毎日見ていれば脳は勝手に覚える。
あたりまえと言えばあたり前だが、そんな方法スコトマに隠れていた。
学校では、単語を何度も書いて、声に出して覚えるように指導された。しかし、めんどくさくなって止めてしまった。というよりは、この方法だと基本的に自分の部屋でした使えない。図書館などで、声を出すわけにはいかない。
書くだけの方法だと、腱鞘炎で手が痛くなる。おまけに簿記で電卓を叩けなくなってしまう。
単語帳を見ていくだけ作戦は、非常に功を奏した。いつでもどこでもこれを持ち歩き暇なときには目を通した。毎日やって半年を経過したころにはほとんど覚えていた。
不思議とこの本は汚れたり、傷がついてたりしても気にならなかった。「本に読まれるな、読み倒せと」無意識にセルフートークをしていたように思う。
いつの間にか普通科(某松江K高校、地元では代々進学校として有名)に通う同級生達よりも多くの語彙を覚えてしまっていた。これには自分でもびっくりした。高校2年ならこのくらい、3年ならこのくらいと言う思い込みや比較が無いので、ガンガンガンと突き抜けて覚えてしまった。
気が付いたら3年時に英検2級に合格していた。結構凄いことだったらしい。
後年、その某K高校に入学した弟に技を伝授しようとプッシュしたら、受け付けられなかった。押せば、反発されたのか、それとも踊る大捜査線に出てくる室井管理官と新庄管理官との間にある関係みたいに、所詮商業高校あがりの兄貴のアドバイスて聞いても受験に意味がないと思ったのか・・・。
頭がいいとか悪いとかは全く関係ない。ただゴールがあっただけだ。
続く