カリスマ ~抽象度の階層④

カリスマ ~抽象度の階層④

前回は大戦略と政策について説明しました。

 

今回は戦略の階層の一番上にくる『世界観』です。

 

 

 

 

 

 

 

⑦世界観

世界観とは、その人の哲学、生き方、存在理由、アイデンティティに関わる類のもので、とても抽象的であり、イメージの世界です。

 

 

一番最下層の技術は目に見えるもの、直接手に触れられるものでした。一方で世界観は目に見えたり、直接手に触れたりすることができません。目に見えることに関しても、世界観を持っている人は、その世界を何となくイメージできるかもしれませんが、それだって世界観のホンの一部分でしょう。世界観はそのイメージできる世界よりも、また一段上の抽象度にあります。

 

 

これを国のレベルで考えてみると日本を日本たらしめているものです。なぜ日本という国があるのか、なぜ日本人がいるのか、行き着くところは古事記や日本書紀などの神話です。神話の内容については割愛しますが、神話は物語を通じて、日本の存在理由や日本人としてのアイデンティティが解かれていると思います。それが国レベルでの世界観です。

 

 

第2次世界開戦前夜、単なる東洋の一島国である日本が急激な発展を遂げてきたことに焦りを感じたアメリカは、日本の強さの秘密を研究したとされます。その時に判明した事実は、日本のパワーの源は神話であると結論付けました。なので、戦後は日本が二度と攻めてこないように神話を封じ込める戦略をとったとされます。

 

神話はとても抽象度の高い世界観です。戦前は神話ありきで見える形の軍隊をつくったり、殖産興業に励んでいたので、短期間で西欧列強にキャッチアップできたのです。もちろん戦後の復興にも、この世界観を知る世代が貢献した事実があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

会社の場合は、社長や創業者などトップの世界観がダイレクトにその組織に反映されます。なぜ自分の会社が存在するのか、なぜ働くのか、いやむしろなぜ生きるのかです。この問いに自問自答しながら書いたカリスマ経営者の本は抽象的であり哲学的です。ときには宗教のようだと揶揄されるのもこのためです。宗教と思われるくらいの思考の抽象度で、トップがその抽象度に立てるから、大人数の組織を率いたり、それを長年持続させたりすることができます。

 

 

松下グループの創業者である松下幸之助氏にまつわるエピソードがあります。従業員が連日連夜の仕事が重なり苦しくて弱っている時、『ココでの私たちの頑張りが世界の灯りの届いていない国や地域の人々に灯りをさしのべる事になる』と説いて回ったそうです。それを聞いた従業員は感動して、それ以上に仕事に励んだそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女性の恋愛でも同じです。というよりもこのレベルに達していれば恋愛観も含む、その女性の生き方です。極めれば、私はなぜ生きるのか、私の存在理由であり、こちらもその女性にとっての哲学であり神話です。例えば、古事記や日本書紀があるからこそ出雲という地が存在するように、その女性にとっての神話が、メイクやファッション、そして恋愛や家族を生み出してまいます。

 

 

 

またこのレベルに達した女性はカリスマです。それに惹かれて、異性はもちろん同性のファンが多いのが特徴です。圧倒的な世界観なりゴールがあり、それが自信と美しさに表れています。それは芸術(アート)であり、時代が時代ならばシャーマンとして君臨していたのかも知れません。また世界観は比較できるものではないためおおよそ競争とは無縁の世界に生きています。嫉妬の対象にもなりにくいです。その理由は、嫉妬してくる人とはレベルが違うからです。

 

 

私は数名このレベルの女性を知っており、事件は現場で起きているという格言のとおり、自らカバン持ちを志願して、彼女達の神話について研究してきました。未だに大部分は分かりません。

 

 

 

 

 

 

資格を活かした企業も会社と同じです。起業家の精神がビジネスで体現されます。このレベルにまで到達した起業家は、実業家へと脱皮していくのでしょう。

 

 

 

 

 

 

コーチの場合も同じくです。世界観レベル、彼らの言葉でいう真実のゴールレベルの抽象度の高いゴールを持つコーチは圧倒的です。一般的なコーチングではセッションと称してクライアントと相対しますが、このクラスになると、とくにセッションで相対していなくても、クライアントとの関係性にコーチがコミットするだけで、なぜかクライアントが成功してきます。それは魔法のようでもあります。

 

 

また不思議なことに、とくに目立ったマーケティングをしていません。自らの世界観(ゴール)に基づいて情報を発信して(しなくても)、なぜかクライアントがついています。

 

 

マーケティングは論理に基づいた過去の最適化です。一方で、このクラスのコーチは常に現状の外を目指しており、かつ感性という論理と感情(情動)を超えたところにいます。既存のマーケティング理論では捉えようがありません。結果的に、そのコーチがやって来た方法が、後に抽象化・体系化されて、ひとつのマーケティング理論として語られるようになります。

 

 

 

余談ですが、コーチと称する人でも資本主義の枠内でしかゴールが設定できないコーチもいます。資本主義の枠内でゴールを設定すれば、必然的に『いくら儲かるのか』『コスパに優れているのか』が重要になっていきます。そうするとどうなるのかは、お察しのとおりです。

 

 

 

 

一方で、世界観(真実のゴールレベルの抽象度の高いゴール)を持つ、コーチは資本主義という系を超えています。資本主義においては、いくら稼いだのかが正しい指標です。しかし、それを超えるとは、どれだけ自分の理想の世界観に近づけたのかということです。なお、端から見ていると、資本主義がそのコーチの理想の世界を追いかけているようにすら見受けられます。もちろんこれは自己啓発でもありません。

 

 

 

 

 

女性に例えると、計算をしなくても、ノーメイクでも、そこまでファッションにこだわらなくても美しいと言われる女性です。内面の一番外側が外見ということです。

 

 

ミルフィーユでいうと、それをつくるパテシエの世界観です。世界でも有数のパテシエであるエスコヤマの小山進氏によれば、

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は、いつもケーキを作るときに、『どんなものを作りたいか』を考えるより、『どんな思いを伝えたいのか』を考える。だから、エスコヤマにはコンセプトがない商品などない。すべての想い、つまりストーリーを商品に入れ込む。コンセプトが固まり、頭の中で食べた時の味や食感をイメージしてから、作り始める。

小山進 『丁寧を武器にする』祥伝社P45。

 

 

 

 

 

僕は、いつもお客様が今まで気づいていなかったことに気づいていただけるようなスイーツを作りたいと思っている。『本当は、これが食べたいんじゃないんですか?』とこちらから、差し出したいのだ。

小山進 『丁寧を武器にする』祥伝社P130。

 

 

 

ゼロから何かを生み出す人と、その真似をする人。ビジネスパーソンなら、自分でエンジンをかけて先頭集団で走っていく15%の人と、それについていく85%の人の二極化になっていると思う。

ケーキ屋もその流れからは逃れられない。お客様が定着している15%の人と、流行を追いかけないと生きていけない85%の店に分かれてきているのだ。

15%の店では、何かを走らせようとしているわけではない。おそらく、15%の店のパテシエは、僕と同じで自分らしい表現をしようとしているだけだろう。それが多くのお客様の好みに合い、評判になって、お客様にお越しいただける店となるのだ。

15%の店にはリサーチもマーケティングもいらない。自分が今、何を作ればいいのかは感覚でわかっているからだ。

 

15%の店を真似しているのが、85%の店だ。だから85%の店ではマーケティングやリサーチが必要になるのだろう。常に世の中の流行を追いかけていかなければならない。

小山進 『丁寧を武器にする』祥伝社P177。

 

 

エスコヤマという物語(ストーリー)の一部として、技術レベルの階層にあるスイーツが芸術として存在するのです。

 

 

 

結論からして世界観にまで至った圧倒的に強いです。その世界観はこの宇宙で自分が果たすべき役割です。そして自分で決めた枠割でもあります。

 

なお、コーチの枠割の一つは、最終的にはクライアントをこのレベルにまで高めることです。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦略の階層に基づいて、世界観から俯瞰して、下の階層に落とせば、何をやっても凄まじいです。

 

プレゼンス(存在感)のある国家になるでしょうし、カリスマ経営者・起業家、カリスマ女性です。またコーチやパテシエも然りです。

 

 

 

 

 

 

しかし、ここで世界観だけが大切なのではありまえん。確かに、世界観は下の階層に影響を与えます。だからと言って、下の階層をないがしろにすることではありません。その階層で、成すべきことが達成された状態(エンドステート)にもっていく必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

例えば、パテシエが理想の世界観だけを考えて、実際にスイーツをつくらなければ意味がありませんよね。

 

女性でも世界観があっても、単にそれが素晴らしいと夢見ているだけではただのお花畑です。

 

あのお釈迦様ですら、悟った内容を周りの人に解いて回りなさいと梵天様に言われたくらいです。

 

お釈迦さまから見れば凡人である、私たちはさもありなんということです。

 

 

 

 

 

 

要するに、抽象度は上げ下げが大事で、最終的には目に見える形の行動に繋げられなければ意味がありません。

 

そうでなければ単なるオカルトです。

 

私たちは現状の外という果てしない理想の世界に生きる一方で、そこから生まれる小さな一歩が必要なリアリズムの世界にも生きているのです。

 

 

 

 

 

以上が、『戦略の階層』の考え方です。

 

あなたの女子力も一歩上のレベルで考えてみることをおススメします。

 

 

 

 

 

セミナー情報

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