昨日は『美人は性格が良い』について書き記しました。
その一方で、『美人は性格が悪い』という説もあります。
こちらを検証していきたいと思います。
なぜ美人は性格が悪いと思われるのか?
どうやら明治時代の修身の教科書により広まったようです。
明治期の修身の教科書には以下のように書き記されています。
『美人は往々、気配り心緩みて、却つて、人間高尚の徳を失ふに至るものなきにあらず・・・之に反して、醜女には、従順・謙遜・勤勉等、種々の才徳生じやすき傾きあり』と書かれています。
美人はその美しさゆえに性格が悪くなるが、そうでない女性は誘惑がないために才徳が生まれるという意味です。
このような内容が堂々と学校の教科書に載るとは凄い時代ですね。国家ぐるみで美人をディスル洗脳です。
『美人=正確悪い』論
この説が広まった背後には、明治時代には『容姿が美しいが、家柄が良くない(と言われた:筆者注)女性』が経済的に地位も名誉もある男性と結婚する『玉の輿』現象が要因のようです。
『玉の輿』に脅威を感じたのが、家柄は良いがあまり美しくない女性です。上の女性なんかに自分たちの地位を脅かされてたまるかと感じた女性たちがネガティブな噂を流したとされています。
その結果、修身の教科書で教育の場で美人=性格悪い論に繋がったとされています。
井上章一(1991).美人論 リブロポート
これは見方を変えればドリームキラーの原理と似ています。身分を維持するために旧勢力が新勢力を排除しようとします。
学校教育の影響は計り知れません。今と違ってインターネットもない時代。情報と言えば新聞か噂話くらいしかない時代に、美人=正確悪いと展開されれば、あたかも常識のようになることが予想されます。
天は二物を与えない?
『だいたい美人なんて・・・』という陰口だけではそこまで美人に対する厳しい意見が噴出することはないと考えられます。
ネガティブな説が広まる背景には、人々が持っている『天は二物を与えず』的な世界観が考えられます。
往々にして人間は『神様は平等で、全ての人に人しく才能を授けてくださっているのだ』ということを信じ込みたいのです。
世の中はバランスがあり優れた面があれば、劣った面もあると考えたいのです。このようなネガティブなステレオタイプが美人=性格悪い説を広めている遠因にあると推測されます。
結局どっち?
前回は『美人=性格良い』、今回は『美人=性格悪い』を紹介しました。
古今東西いろいろな実験が行われたそうですが、圧倒的に美人は性格が良いとされた実験結果が多いようです。
美人が悪印象を行ける実験としては、美人が美貌を使って、詐欺などの悪事を働いた時は大きな非難が寄せられるようです。また男性が多い職場で男性的な仕事に就こうとする場合は面接に不利になる結果が寄せられたようです。私が昔勤めていた男性だけの組織では確かにそんな噂がありました。
Sighall,H.,&Ostrove,N.(1975).Beautiful but dangerous .Effect of offender attractiveness and nature of the crime on juridical judgement. Journal of Personality and social Psycology,31,41-414.
Johnson,S.K., Podratz,K.E.,Dipboye R.L.,&Gibbons,E.(2010).Physical attractiveness biases in ratings of employment sutability: Tracking down the “Beauty is Beastly “effect. The journal of Social Psychology,150,301-318.
極めつけは、イエール大学のファインゴールド博士による実験です。博士は145本の論文を分析した結果、外見的魅力の高い人は低い人に比べて、より孤独感が少なく、より社会的不安が少なく、人気があり、社会的スキルがあるという結論に達しました。これらは『良い性格』と言われるものであり、美人は性格が良いという結論です。
Feingold,A (1992). Good-looking people are not what we think. Psychological Bulleten,111,304-341.
人間は一つの優れた部分を見ると他の面も優れて見えるハロー効果というものがあります。
また。
また小さなころからあなたは『美しいから性格も良くないとダメよ』と育てられてきたのかもしれません。そしてその通りに育つ、ピグマリオン効果も考えられます。
ついでに、私が女性に聞いた範囲では、美人は性格が良いという意見が多かったです。
しかし大切なことは
自分のイメージは自分で決めるということを推奨しています。あなたは美人、あの人は美人という考えも所詮は他人軸の評価であり、他人の決めたモノサシでしかありません。
あなたが理想とする人生において、あなたが美しく在りたいのなら、自分でそう決めればいいのです。
美人の定義は人それぞれですが、あなたなりの美人を自分なりに演出して、心の底からそうであると決めるのです。
その確信度が高ければ高いほど、周りの人々にも伝播してしまいます。
以前にも紹介しましたが、実は人は完全な世界を観ているのではありません。
五感を通じて情報を処理して、あたまの中で実際の世界のようなイメージを現実と思い込んでいます。
あなたの確信が高ければ高いほど、あなたの周りの人の脳内情報処理に影響を与えます。つまり、あなたが内面で私は美人と思い込み、外見も合わせて相応しくすれば、周囲の評価もあなたのイメージ通りに変わってくるのです。
事実、某宗教団体のグル(どう見ても美男子には見えない)は信者からは美男子だと認識されていました。これはグルが違法薬物などを使って、信者の脳内情報処理に影響を与えたからだと囁かれています。
さすがに違法なことは出来ませんが、あなたも自分のなりたいに確信を高めていけば周りの世界を取り込んでしまうことが可能です。
というよりも、あなたがあなた自身を美人だと思い込めば、あなたの世界においてはあなたは美人です。このあなたの世界があなたにとってのリアルなのでやはり美人なのです。
参考図書 越智啓太 『美人の正体』実務教育出版