一昨日の夜、なかなか寝付けなかったので生産者マインドについて考えていた。先日の渋谷フィールドワークの影響だ。
生産者とは、どのような価値を世の中に提供しいていけば人々に喜ばれ、貢献できるかを常に問い続け、実践に移している人・組織だと思う。とくに目の前のありふれたもの良さに気づきその良さを社会に提供していく。スコトマ(盲点)を外すことが得意だ。
それで「これって鳥取県のことじゃね」と思った。
鳥取県は、島根県の右側に位置する。ニコイチで、山陰という地域を形成(正確には兵庫県の日本海側から山口県の日本海側をカバー)している。島根県・鳥取県の一段上の抽象度が山陰だ。
エリアは広いけど、人口が少ないためにローカルテレビ局や地方新聞社はお互いの県をカバーしている。島根新聞、鳥取新聞ではなく山陰中央新報。島根放送、鳥取テレビではなく山陰中央テレビと言った具合に。
なので、人気のグルメ店巡りや地方ニュースなど同じ情報を共有している。価値観も共有していると言ったら言い過ぎか。
日本全国の主要都市に出向くのもお互いに不便で、しばしば「日本のチベットみたいなところ」と形容される。まあ、早い話がド田舎ということだ。事実、お互いの県では、セブンイレブンやスターバックスが出店するだけで、お祭り騒ぎになってしまう・・・。都会人には絶対に分からない感覚だと思う(笑)。
そのためか、広島県や岡山県ではそうはいかないけど、鳥取の高校が甲子園に出場すれば、なぜかそっちも応援してしまう。親戚というか、兄弟みたいな存在。それが島根県から見た鳥取県。
今回は、そんな鳥取県の生産者としての勢いが止まらないというお話。
かつては鳥取県のイメージとしては、梨、カニくらいしか思いつくものがなく、島根県と重なるところが多く、お互いに地味だった。お互いに、中央政府からの補助金、大企業の誘致に頼るという消費者マインドの典型だったように思う。
が、トップが平井伸治知事に変わってからそのイメージが変わりつつある。鳥取県のセルフイメージが消費者から生産者に変わってきていると感じる。地味どころか、チャンスはものにする、そんな積極的な姿勢が垣間見れる。
平井知事と言えば、妖怪のコスプレをしたり、全国ネットのテレビ放送におしい感じで出演したりして、時代に合わせた最適な情報発信を展開されている。
例えば、あの有名な鳥取にスタバ(スターバックス)はないけど、スナバはある発言(現時点でスターバックスは鳥取に進出済み)。
この弱点を逆手に取った発言で、本当にスナバコーヒーが誕生。賑わっているようだ。
他にも、「松屋がなくても松葉(ガニ)がある県」、「カネはないけどカニはある」等の名言も見逃せない。
次は、境港は大型客船の誘致。ちょっと前では、信じられない規模の大型客船が寄港するようになった。乗船客の中国人観光客が大量に押し寄せて、爆買いを展開。地元のモールは大賑わいだったそうだ。港の管理人に話を聞いたら、「うちは知事が商売上手だからね」と嬉しそうに語っておられた。日本海のイチ漁港としてではなく、抽象度をあげて、アジア大陸からの海の玄関と捉えたわけだ。
この境港は、僕が高校生の頃は、言い方は悪いが、それこそ日本海側のさびれた漁村だった。
しかし、その後水木しげる記念館やロードを整備して息を吹き返している。人口は減ったけど、妖怪は増えたのだ。
まだまだ、ネタは多数あるが今回はこの辺にしておく。
あの地味な鳥取県がここまでやれるなら我が県も行けるのではと、大いに勇気をもらった地方の首長、行政関係者も大勢いると思う。また、鳥取県民の方々のセルフイメージ変わりつつあるように思える。
鳥取県民にとってスナバ(砂丘)、カニの良さがスコトマに隠れていたのだ。そのスコトマを外し、別の角度から良さをPRすることでチャンスをものにしている。やっぱり、生産者マインドがあるに違いない。もちろん、エフィカシーも高い。
それぞれの地方には良いものが一杯隠れている。スコトマになって気が付いていないだけだ。スコトマを外し、マインドを変えていけば地域再生につながる。そのことに気が付かせてくれた。
今後も鳥取県と平井知事の名言から目が離せない。
センターは平井知事↓