『現状を超えたゴール設定』と『日本国家の神髄』

2017-07-05

私はコーチング、とくに現状を超えたゴール設定という概念が世界に広まった方が良いと考えます。

 

この理由は、安全保障上のゴールに基づきます。

 

世界的にテロの脅威が増しています。とくに目立つのがISです。

 

ISとは( ISlamic Stateイスラム国)の略(以下ISと表記)であり、イスラム過激派組織で、イラクシリアにまたがる地域で活動しています。

※イスラム教自体は、穏便かつ寛容な宗教です。私自信もかつて仕事で多くのイスラム教徒と関わり、そう感じました。

 

彼らのゴールはイスラム圏を統一、拡大、厳格なイスラム法に則った国家を樹立することであり、その方法は残虐極まりなく、彼らの起こすテロについて、ブログ読者の方々も聞いたことがあるでしょう。

 

またISと無関係なテロリストがテロを越しても、テロリストはISの仕業と発表しています。ISは組織の宣伝になるのか関与を否定しません。

 

さて、何でISとコーチングが関係あるの???と疑問に思う方も多いでしょう。その理由を以下に説明します。

 

昨今の、一般的なニュース報道をご覧の方はISは勢力が減少していると報道されています。

 

ISが国家樹立宣言を実施した拠点モスル(イラク)では掃討作戦が最終段階に入っており、最高指導者であるバグダディもロシア軍の攻撃により殺害されたと報道されています。

 

ISIS(自称イスラム国)はおそらく今後1年のうちに終焉を迎えるだろう。支配地域を失うからだけでなく、収入源も失うからだ。

ロンドンに拠点を置く軍事コンサル「IHSマークイット」によると、ISISはイラクとシリアの国境をまたいで支配していた地域をすでに60%以上失ったが、収入はこの2年で80%を失った。

2015年1月の時点では、約9万平方キロの地域を支配していたが、2年半後の現在は3万6200平方キロまで支配地域を縮小した

NEWS WEEK 日本語版 2017年6月30日付 https://goo.gl/TwNbdc

 

これだけを見ると物理空間では、縮小しているかのように感じます。

 

しかし、その反面、思想的にISにシンパシー、もしくはファッション的な憧れを覚えつつある人が、全世界で増加傾向にあるようです。要するに、ISが仕掛けている臨場感空間に同調している人々が増えています。

 

米国主導のIS包囲戦、すなわち、「有志国連合」による空爆、それからイラク軍やクルド人民兵による掃討作戦は、「組織」としてのIS、そして、イラク・シリア国境地帯を実効支配してきた「国家」としてのISを弱体化させることには一定の成功を見せてきた。

しかしそれは、「IS時代」の「始まりの終わり」に過ぎない。「組織」や「国家」が弱体化しても、 「思想」としてのISはグローバルな波及を見せている。そして、その「思想」に共鳴した者たち、すなわち、「自称ISメンバー」の出現は後を絶たない。

クーリエジャポン 2017年6月27日付 https://goo.gl/AuxHo9

 

 

彼らのゴールに基づいて、支配したい空間は私たちのマインド、つまり情報空間であり、サイバー空間を経由して、私たちに接触を図ります。

 

例えば、かつて猛威を振るったテロ組織『アルカイーダ』があります、彼らもインターネット等を使用して、指導者オサマ・ビンラディーンの言葉によってメンバーをコントロール、そのメンバーがテロを行なっていました。

 

 

あなたもテレビでビンラディーンの声明を聞いたことがあるでしょう。

 

彼らは彼らなりのロジックを持って言語で仕掛けていました。

 

しかし、ISは人間の脳に直接影響を与えやすいイメージという非言語を使用して、直接情動に働きかけています。

 

人間の脳の後ろ3分の1には、『視覚野』と呼ばれる部位があります。脳の中でも一番大きな部分で、ひとはそこで、眼球から入ってくる視覚情報を処理しています。

 

脳に占める大きさからも分かるとおり、視覚は人間にとって、もっとも重要な情報です。

(中略)

私たちが認識する『宇宙』も、人間の情報処理をもとにつくられています。視覚、嗅覚、味覚から得られる情報にくらべて、圧倒的な量を誇るのが視覚による情報ですので、人間の感じる『宇宙』はおもに視覚からつくられるのです。

苫米地英人 『テレビはみてはいけない 脱・奴隷の生き方』PHP研究所

 

イメージという視覚に直接働きかける方法により、シリア崩壊のどさくさに紛れて誕生した、中東の一イスラム過激派勢力が世界的な猛威を振るうまでに至りました。

 

確かに、ISにシンパを感じる人々の中には、生粋のイスラム原理主義過激派であり、聖戦(ジハード)に参加する戦士(ジハーディスト)もいるでしょう。

※イスラム世界の拡大や防衛のための戦いを意味し、聖戦と訳されることが多い。https://goo.gl/QQ5zs3より引用

 

しかし、それよりも貧困や差別、または仕事に就けないなど、圧倒的に現状に行き詰まり、不満を感じている人が大多数でしょう。

 

元外務省主任分析官の作家佐藤優氏によれば、将来に全く希望が持てずに、とくに自殺志願者に響くようにメンバーを募っているようです。

 

テロ組織のメンター(思想的指導者)は、自殺志願者を常に探している。精神科医やカウンセラーを味方にして、自殺志願者に関する情報を入手する。そして、自殺志願者と会って、親身になって話を聞く。その上で、「失恋、学業不振を理由に自殺しても人生に敗北してこの世を去るに過ぎない。しかし、アッラー(神)の正義のために殉教するならば、それは勝利者として、人生を終えることになる。死後、あなたは天国に行くことになる」と説得する。

 

人生が順調で、人間関係にも恵まれて問題を抱えていない人ならば、このような説得をいくらしても効果がない。しかし、孤独で、人生に失敗したという認識を抱いていて、自殺傾向のある人に対してならば、熟練したメンターによる心理操作で、自爆テロリストを作り出すことは難しくない。

産経ニュース 佐藤優の世界裏舞台 https://goo.gl/rL8ozg

 

『お前の人生はロクなものじゃない』

 

『でも、お前が死を選ぶことは貴いことだ』

 

『しかし自殺は負けだ。死んでも、しばらくもしないうちに皆がお前のことを忘れる』

 

『しかし、一つだけ最後に、皆をぎゃふんと言わせる方法がある。最後に死を選ぶ、お前に最高の舞台が用意されている』

 

『どうだ・・・』『どうせ、死ぬなら』

 

 

このような感じで、人生をあきらめた人々を説得して世界に彼らの手先となるいわゆる『細胞』を増殖させています。

 

ISに関しては遠い外国の話ではなく、私たちの身近な存在です。

 

事実、最近はフィリピンのミンダナオ島に勢力を拡大して、その影は日本列島に近づきつつあります。

 

過激派組織「イスラム国(IS)」に忠誠を誓う武装勢力による5月23日の電撃攻撃で占拠されたマラウィ市を奪還するため、数千のフィリピン軍兵士が戦っている。

フィリピン南部は過去数十年の間、武装勢力による反乱や、山賊行為に苦しんできた。だが、マラウィでの激しい戦闘、そして地元武装勢力と肩を並べて戦うインドネシアやマレーシア、イエメン、チェチェン出身のIS戦闘員の存在は、同組織がイラクやシリアで足場を失いつつあるなか、この地域が東南アジアにおける拠点となりつつあるとの懸念を生んでいる。

占拠を封じ込めるためにフィリピン軍が送り込まれたが、進展が緩やかで、困難かつ慣れない市街戦になるとは、誰も予期していなかった。

NEWS WEEK日本語版7月5日 https://goo.gl/zRsVYv

 

 

今後も、中国山間部の政府のコントロールが及んでいないイスラム教徒の多い地域に浸透してくると予想されます。

 

 

元々は、希望が見いだせず死を選ぼうと人々です。この方法でリクルートされ、ISのキャンプに送り込まれて引き返せなくなった人も多いのではないでしょうか。

 

日本人の中にも、この手の人々が増えてくると懸念しています。

 

というよりも実際、日本でも将来に悲観したとされる若者がISに加わろうとしています。

イスラム国」参加を企て 北大生ら聴取 私戦予備容疑

産経ニュース 2014年10月6日付 https://goo.gl/

 

 

さて、これに対してコーチング、とくに『現状を超えたゴール設定』が役立つと考えます。

 

人が犯罪やテロに加わる背後には、その人の低いセルフエステームが関連していると思います。セルフエステームが低すぎて、もとは自分に向けられた攻撃性が、外に向いてします。

 

低いセルフエステームがコンフォートゾーンとなると、無意識のうちに自分を高めるよりも、他人を攻撃して貶めるという心理が働きます。逆恨みのこの類です。

 

これ度が過ぎると犯罪に繋がると思います。

 

とくに、日本は真面目にすればするほど、このセルフエステームが低くなっていく社会です。

 

基準は自分ではなく他人や社会であり、その基準を満たすか満たさないかで、セルフエステームが低下していく仕組みです。

 

この社会的な基準から外れて、著しくセルフエステームを低下させて苦しんでいる人が日本に多いと考えます。

 

また希望も見い出せません。

 

こんな折に、サイバー空間からISの囁きが聞こえてきそうです。

 

 

『お前はよう。このまま、のうのうと生きていても一生非正規で働いて結婚もできない』

 

『一生負け組で惨めな思いをして、最後は自殺だろう』

 

『こんな社会が憎いだろう?』

 

『でも、おまえにも最高の舞台が用意されている。どうだ・・・』

 

と囁かれたら興味を持ってしまう人がいるかも知れません。

 

日本人でイスラム教徒は少ないですし、原理主義過激派思想は皆無のハズです。

 

しかし、現状に対する不満にあてこまれて、ISのキャンプに参加して洗脳されてしまったら終わりです。案外、そのキャンプは、私たちのスコートーマに隠れて、もうアジアの日本に近い所にあるかもしれません。

 

繰り返しますが、これに対する有効な策が『現状を超えたゴール設定』であり、それを運用するコーチングです。

 

幸いなことに、コーチングに現状を超えたゴール設定という概念を取り入れ、より実践的なツールに仕上げたのが日本人の苫米地博士です。

 

私たちは日本語で、オリジナルのプログラムを学ぶことができる、世界的に稀有な環境にあります。この環境を生かさない手はありません。

 

『現状を超えたゴール設定』をまず、私たち日本人が実践して模範となり、世界の人々の臨場感空間に取り組んでいくべきと考えます。

 

『現状を超えたゴール設定』とは、ときに絶望の中に見出す、希望と成り得ます。

 

人間は未来に対して明るい展望が開けると前向きなります。他人を慮る気持ちも湧いてきて、これは抽象度の向上にも繋がります。

 

抽象度が高まれば、他国や異教徒を攻撃しようとは思わないハズです。

 

世界的に、こうして連鎖が拡がれば、テロを封じ込める一助になると考えます。

 

テロも不安や恐怖を与えるための心理戦です。だとしたら、私たちは対抗して嬉しさ・楽しさを与えていく心理戦で対抗します。

 

これが、これからの日本がリーダとして抽象度を高く、世界の人々のゴールを包摂した、ゴールを見い出していく。

 

国や人種、民族を超えた抽象度の高いゴールを見い出していく、かつての軍事力というハードパワーではなくて、抽象度を高く、世界の国や人種、民族を超えた抽象度の高いゴールを見い出していくというソフトパワーで世界を席巻していく。

 

これが日本に課せられた使命であり、『日本国家の神髄』であり、いわゆる『大和こころ』であるべきと考えます。