言葉とサッカーと抽象度


前回抽象度を使った学習法について話をしました。

抽象度はとても便利な概念であり、セルフコーチングを実施していくには避けては通れません。

個人的には、セルフコーチングが上手く行っていない人は、抽象度という概念が抜け落ちていると感じます。

さて、先日中学生相手に抽象度の話を少しだけ行いました。

参加してくれた子どもたちはサッカー部に所属しています。

そこで話し足りなかったことの続きを書きます。

私はサッカーは小学生の頃に部活で行なっていました。

抽象度の高いサッカー選手として思い浮かぶのが中田英寿さんです。

彼は試合全体を見渡せる目をもっており、試合をコントロールしていました。

司令塔です。この司令塔に必要な視点が抽象度です。

抽象度が低ければ目の前のボールしか見えません。ボールが来たらとりあえず前に蹴って、あとは全員で前に進むレベルのサッカーしかできません。

小学校低学年のサッカーに多いようです。私が小学生時代のレベルです。太っていたからゴールキーパーでした(笑)←こう言う時代が確かにありました。

ちょっと抽象度が上がれば、パスを回したり、連係プレーという概念を運用します。

例えば、Aさんがパスを出そうと思った際に、何秒後にBさんが5m前のスペースに進むから、そこに今パスを出せばよいと一瞬のうちに判断がつきます。大概の中学生はこのレベルではないでしょうか。

もっと抽象度が上がれば、パスはもちろん、相手の心理の裏をついた連係プレー、オフサイドトラップといった相手を陥れるプレーを思いつきチーム全体で共有できます。一般的な高校生はこのレベルではないでしょう。

さらに一段、抽象度が上がれば、今度は相手のチームの戦略や戦術が手に取るように分かります。

後半何分ごろ相手は選手交代を実行する、その際にフォーメーション(布陣)が4-3-3から3-5-2に変わってくる、その時に選手交代で○○が△△に変わる。かつ、それに伴い相手チームの雰囲気が変わって、今度はコンパクトに詰めてくる。

距離が短いパスを多用して、ボールキープ時間を多めにとると同時に、その裏で11番のあいつがサイドから一人で上がってくるという情報を察知します。

また、コンパクトな試合展開のために、キーパーもキッキングでボールを遠くに蹴るではなく、スローイングでコンパクトに対応してくる。

そうさせないように、当方の左ウイングをオフサイドトラップに掛らない程度に前に詰めさえてプレッシャーをかける。ともすれば、今回適任なのは持久力があり、小回りの利く俊敏な××選手を起用しようという発想に繋がります。

このように高い抽象度でゲームを捉えて、相手チームを自分たちが理想とすべきサッカーの臨場感空間に誘い込みます。情報空間を支配して、相手チームのマインドを支配下に置くのです。

マインドと身体は連結しているので、マインドを乗っ取ってしまえば、身体レベルの反応は鈍ります。

別の言い方をすれば、相手チームを、相手チームのコンフォートゾーンから外すのです。

人はコンフォートゾーンの中でこそ、そのパフォーマンスを十二分に発揮できるのです。

コンフォートゾーンから外れた、相手チームはシュートを決めようとしたら、ボールをインパクトする仰角が若干上に向いてしまい、ボールを負荷してしまうようなミスを連発します。

ミスの連発で焦りを感じた相手は、強引にラフプレーに持っていこうとして、ファウルを連発してしまいます。

そうすればこちらはFK(フリーキック)やPK(ペナルティキック)を誘いだせそれだけで有利な試合展開になります。

高い抽象度から仕掛けたこっちの罠に引っかかっているのです。しかし、相手チームの抽象度が低ければ、こちらの戦略・戦術を絶対に見抜けません。
下から上は見えないのです。

もちろん、そのレベルに至るまでは監督から、チームの選手全員、ひいてはサポーターまでが抽象度を高めるのが理想です。

サポーターを巻き込むまでが難しければ、監督と選手全員の抽象度が圧倒的に高くなるだけでも十分です。

ここで抽象度は高い方を操作すれば、低い方も影響されるという法則を思い出してください。

コーチングでは、クライアントが臨場感を感じている目の前の物理的現実世界よりも、高い抽象度である情報空間に働き掛けるからこそ物理的現実世界も変化します。

レベルの高いコーチングは、いきなり抽象度の高い方法で、相手の潜在能力を引きだし、この『超情報場』を変化させて、問題の解決を図ることになるからです。
苫米地英人 (著)『Dr.苫米地の「脳力」の使い方 (一般書)』徳間書店 P208。

余談ですが、先日の抽象度彼女は、この方法を応用しています

また、あえて時間は未来から現在→過去に流れると要請するならば、抽象度の高い世界である未来を書き換えれば、現在、そして抽象度が低い過去の解釈さえも変えてしますます。

私は時間は未来から過去に流れるとする時間の哲学は、存在は抽象から物理に流れるとする存在に関する哲学と一致すると考えています。
つまり、もともと未来はきわめて抽象度の高い空間で、それが未来から現在そして過去へ流れるなかで抽象度の低いほう、つまり物理状態へ流れていっているということです。
(中略)
2億年後の人類は(とはもう呼ばない種に進化していると思いますが)は、きわめて高い抽象世界に生きているはずです。そして、2億年前の我々は、抽象度のほとんどない生物、たとえば三葉虫だったわけです。
苫米地英人 (著) 『ドクター苫米地の新・福音書』講談社 P210。

抽象度による書き換えです。

このことから、抽象度の高いチーム(監督や司令塔)が、試合の主導権(情報空間の制空権)を握ると考えても何ら不思議ではありません。

また高い抽象度は、高い自己イメージと同じこと。サッカーの常識を超えたエキセントリックかつミラクルな試合運びが出来るという自己イメージならば、チームはその通りに動きますし、相手チームの無意識はそれに取り込まれるしかありません。

人は強い人に同調していく!
では、どうして『大いなる勘違い』をすると成功できるのでしょうか?人間は強い人の信念に必ず同調されて引き込まれます。
(・・・中略・・・)
後で、出てきますが、これは科学的に言うと『ホメオスタシスの同調』です。
苫米地英人(著) 『脳と心の洗い方~「なりたい自分」になれるプライミングの技術』フォレスト出版 P21。

ここで言う、強い信念こそ自己イメージ。

この自己イメージを、まずは相手チームに、うちのチームは圧倒的に強い、『悪いけどオタクでは手も足も出ないね』と言う雰囲気によるメッセージで相手に伝えます。というよりも、ホメオスタシス同調で伝わってしまいます。

戦う前から、勝敗がついているのです。 

相手チームから見れば、当方の名前を聞いたとたんに、そわそわした感じに包まれて、『無意識下ではあそこに勝つのは難しい』と思ってしまうしかありません。

これは不登校の子どもが、学校のことをイメージしただけで、恐怖に駆られる感覚に近いのかもしれません。

また、『自分には志望校は無理だ』と言った具合に受験も同じくです。

戦う前から勝敗が決してます。

ついでに言うと、ホメオスタシス同調であるからゆえ、サポーターにもチームの高い自己メージは共有されます。

チーム全体のコレクティブ・エフィカシー(チーム全体のゴール達成における自己能力の自己評価)が高まった状態です。

抽象度を高めれば、このようなことも十分可能であると確信しています。

実際に、小学生の頃しかサッカー経験ない私が、このような記事を即興で書いています。

ブログのタイトルそのものです。

小学生のサッカー経験と、知識としてのコーチング理論のLUB(Least Upper Bound)をとり、それを言葉という抽象度レベルに落として記述し直してみました

私が勧めているのは、『過去に学習したもの』と新しく学習したいものが共有する一つ上の次元まで抽象度を上げる方法です。
この一つ上の次元をリースト・アッパー・バウンド (Least Upper Bound)といったりします。自然数の掛け算における最小公倍数に相当します。
苫米地英人著 『頭の回転が50倍速くなる脳の作り方』フォレスト出版 P71。

※私も良くそんなにブログが書けますね?ネタに困らないのですかと質問されますが、コーチング理論とその他のLUBをとって書いているので基本、詰まることがありません。私の無意識が勝手にネタを見つけてくれます。

なお、冒頭で上げた中田英寿さんは、抽象度が高いゆえに、サッカー引退後のビジネスにおいても成功するのです。

きっとサッカーをプレーするのとビジネスと、全く同じことをしている感じでしょう。

これは抽象度が高ければ当然の帰結と言えるでしょう。

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2016-12-31 | Posted in 抽象度No Comments » 

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