『ゴールは他人に言わない』を洗脳手法から読み解く 


 

ゴールは他人に言わない

 

ゴールに対して、ドリームキラーから何か言われたくらいで凹むのは本当に望むゴールではないという言説がある。

 

確かに、言いたいことは分からなくもない。

 

しかし、何かを見落としている。ゴールは結構変わるということだ。

 

一度、ゴールを公言するとhave toを感じるようになる。そのカラクリは以下だ。

 

人間にはコミットメントと一貫性が働く。

 

コミットメントと一貫性

人間は一度、ある態度をとると一貫性を保ちたがるという性質

 

例えば、別に好きでもない男性と肉体関係をもってしまった女性が、その男性のことを好きになってしまう場合がある

 

私はこの人と肉体関係をもった。だけど、恋愛感情はない。そう感じると、心の整合性を保つために認知的不協和という状態が発生する。無理やりにでも好きになることを選ぶ。時には記憶だって捏造してしまう。そうでないと、心が壊れてしまうからだ。

 

人間は、相反する概念を同時に持つことはできない。

 

実はコーチングは、この認知的不協和を利用している。

 

コーチングでは、人の内面の秩序として説明している。

※専門的には、ゲシュタルトというがここでは使用しない。

 

人間は普段、内面の秩序と外面の秩序が整合性を取れていれば心理的に問題はない。

 

しかし、この内面と外面の秩序が崩れると、ものすごく不快な気分に陥る。

 

すぐに、内面に外面を合わせて元に戻そうとする力が働く。この力の源泉は、生体を一定に保とうとするホメオスタシスの働きによる。

 

また内面と外面の秩序が壊れて、戻ろうとする際にエネルギーが生じる。

 

コーチングでは、この作用に注目して、意図的にゴール設定により内面と外面の秩序を壊す。

 

よって本当に大事なのは、ゴール設定である。どうやって秩序を意図的に壊すのか?が重要である。

 

ホメオスタシスの作用が、今までは秩序を保っていた現状維持ではなくて、新しくゴール側の秩序(映像)とフィードバックするように仕向ける。

 

ゴールの映像が弱ければ、元に戻るだけ。現状維持から抜け出せない人は、ゴール側の映像が足りないのだ。

 

ホメオスタシスが、ゴール側でも現状でも臨場感が高い映像とフィードバックを取り現実となる。

 

ゴールの映像も過去の記憶を合成したもの、また現状見ている風景も五感を通じて取り込んだ記憶の再合成である。ゆえに、I(映像)×V(臨場感)=R(現実) と成るのである。

 

フィードバックが上手くいけば、あとは勝手にゴール達成に向けて自動操縦で連れて行ってくれる。これが『努力はいらない』の仕組みだ。

 

ルータイスの言葉を借りれば、

 

すべての意味ある永続的な変化は、内側で起こり外側へと広がる。」

 

である。

 

良くも悪くも内側から始まり、外側に広がる。

 

かつての自己啓発では、行動から始まったが、もうお分かりの通りに、どんなに頑張っても内側に引き戻されるだけだ。

 

さて話をコミットメントと一貫性に戻そう。ゴールに向かう過程で、アレ? これってもしかして望んでいないのかもと気が付く場合がある。

 

しかし、ゴールを他人に言ってしまうと、いや一度ゴールを決めたからには、果たさなければならぬという考えに陥ってしまうコミットメントと一貫性が働いてしまう。

 

 

洗脳の例

これを顕著に表した例が、これから説明する、朝鮮戦争時の中国人民解放軍に捕らえられた米軍捕虜の事例である。

 

朝鮮戦争時に、多くの米軍捕虜が、中国共産党が管理する捕虜収容所に囚われていた。

 

米軍捕虜は、自分の名前と階級以外は話してはいけないと訓練されており、暴力的、物理的な尋問には耐えうるように訓練されていた。

 

しかし、中国側は、まず米軍捕虜に、非常に穏やかな反米的、または共産主義を称賛する意見(「米国は完全ではない」、「共産主義の国では、失業は問題にならない」)等を紙に書いてくれるように、非常にソフトなアプローチ方法を試めした

 

これはフット・イン・ザ・ドアテクニックと呼ばれており、依頼や交渉の際、相手が承諾しやすい要求から始めて、徐々に要求を大きくしていく話法である。

 

小さな要求への承諾をステップとしながら、最終的に、こちらの最も望ましい要求を承諾するよう相手を導く。

 

この名称は、セールスマンが訪問先でまず片足をドアに入れて閉まらないようにし、相手が商談を拒否できないようにする動作に由来する。

 

つまり、中国共産党軍の大きなゴールを達成するために、米軍捕虜に対して小さなコミットメントを誘発したのである。

上にあげたとおり、その要求はエスカレートしていくが、米軍捕虜は自分から自主的にコミットしたので止まらないのである。

 

 

他人の目線効果

また、他人からの視点が、これを補強する。あの人は、ああいうゴールを掲げているという目線は意外と強力だ。

 

例えば、ある捕虜が本心ではそうは思っていなくても、脅されて、私は米国が嫌いで共産主義を称賛しますと人前で公言させられれば、誰もがあいつはああいった思想を持っていると見做す。

 

その目線が、やがて捕虜の思想を変えていく。

 

周囲は、私のことをこのように思っているに違いないという考えが、それが妄想であろうが何であろうが、ある捕虜はこれに合わせようとする。

 

また、これらにより民主主義を拡げて共産主義の圧政から世界を救うための米軍兵士内面の秩序は壊されて、新しい共産主義戦士のそれが構築される。

 

新しい共産主義戦士としての臨場感だけが強まる一方なので、ホメオスタシスはそちらにフィードバックするしかない。

 

人は与えられた役割を担おうとする。他には、スタンフォード監獄実験などで知られている。興味がある方は調べてみると良いだろう。

 

コーチングが効くのもこれと同じだ。コーチはクライアントをゴールを達成した人物として見做す。その目線により、クライアントはゴール側への臨場感をして、無意識のうちにゴール側の自分を演じようとするのだ。

 

教育現場で用いられるピグマリオン効果も同じ仕組みである。

 

ゆえに、ゴールを公言してしまうと、ゴールの変更がしづらくなる、または変更するにも膨大なエネルギーを要してしまう。

 

本当はこれは望むゴールではないと内心感づいている。だけど、一度決めたゴールだから果たさねばならない。これではやがて精神を病んでしまう。

 

上の米軍捕虜が暴力を用いられて無理やり思想改造をさせられたら、適応障害となり鬱や精神的錯乱、自殺を誘発しただろう。実際に、そのような例も報告されている。

 

しかしながら、戦争が終結して米国本土へ帰ることができた捕虜の中にも、相変わらず共産主義を称賛し続けていた人が存在する。

 

これが洗脳された人。ちなみに、この洗脳という言葉は、当時米国でこの元捕虜たちへの関心が高まり、メディアでBrain Washingと称された訳語である。

 

なぜ、このように自ら進んで共産主義にのめり込んだのか?本当に共産主義体制に取りつかれたのか?

 

答えは繰り返すが、自分でコミットしたことからは逃れにくく、かつその役割を担うものと周囲から見なされれば、輪を掛けて逃れられなくなるが正解だろう。

 

昨今、過労自殺がとり正されている。『そんなに嫌なら辞めれば良い、なぜ辞めないのか』と外野は言うが、自分で決めた仕事というコミットメントと一貫性、かつ役割を担うべしという作用が、退職や転職という可能性をスコトーマ(心理的盲点)に隠してしまうのである。

 

ルータイス公式を借りれば、よくも悪くも目の前のI(映像)とV(臨場感)が掛け合わされたR(現実)が拡がるということである。

 

 

なので、ゴールは公言しない。話してもいいのは、この知識に通暁しているコーチだけだ。

 

公言した方が応援してくれる人が見つかる?

 

他には、『ゴールを公言した方が応援してくれる人が見つかる』という意見がある。結論を言えば、ゴールを公言しなくても応援してくれる人は見つかる。

 

簡単に言えば、黙っていても自分から同じような人が集まる場へ赴くか、反対に相手からやって来るのだ。

 

ゴール設定をおこなえば、ゴールが包摂する人間関係や出来事と情報空間において必然的に繋がる。

 

ここで繋がってしまえば、多少のタイムラグがあるかもしれないがやがて物理空間に落ちてくる。黙っていても気が付いたら、必要な人と繋がっている。

 

 

最後に

エフィカシーが高ければ、ゴールを公言しても問題ない。

 

そう言われそうだが、変更に伴うエネルギーを考えればあまり得策ではない。

 

それでも、ゴールを公言して注目を浴びたいのであれば、達成してから事後報告としていくらでも行えばよい。

 

 

まとめ

・一度ゴールを公言すると、以下により変更しづらくなる

・コミットメントと一貫性

・周囲の目線の通りに演じようとする

・ゴールを教えてもいいのはコーチだけ

・黙っていてもゴールとの縁起が繋がれば、応援してくれる人は表れる

・ゴールに向けて粛々と進む

・ゴールを公言したければ、達成してから思う存分すれば良い

 

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2016-04-27 | Posted in ゴール設定No Comments » 

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